2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境適応戦略としてのペルオキシソームの可逆的機能分化
Project/Area Number |
16085209
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
西村 幹夫 National Institute for Basic Biology, 高次細胞機構研究部門, 教授 (80093061)
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Keywords | ベルオキシソーム形成因子 / タンパク質の輸送 / PEX10 / 小胞体 / クチクラワックス / ダイナミン / ポリアミン / 新規ペルオキシソーム膜タンパク質 |
Research Abstract |
PEX遺伝子は、さまざまな生物で単離されたペルオキシソーム制御遺伝子の総称である。シロイヌナズナゲノムには少なくとも22個のPEX遺伝子が存在する。フォワード・リバース遺伝学を利用することで、全PEX遺伝子の変異株を確立した。これら変異体の表現型解析から、PEX遺伝子をペルオキシソームのタンパク質の輸送に関与するもの、形態維持に関与するもの、分裂に関与するものに分類した。これらの結果からタンパク質輸送機構のモデルを提唱し、BiFC法を用いてモデルの検証を行っている。また、植物のPEX10遺伝子が小胞体の制御を通してクチクラワックスの生合成に関与するという他の生物には見られない植物独自の機能を持っていることを示した。 GFP蛍光によって可視化されたペルオキシソームの形態を指標に単離したapm変異体のうち、apm1変異体はダイナミンDRP3A遺伝子に変異があり、ペルオキシソームの分裂異常が認められること、apm2、apm4突然変異体はそれぞれPEX13とPEX12遺伝子に変異があることを明らかにしてきた。新たにapm5とamp9変異体について原因遺伝子の特定を行い、その機能解析を行っている。 トランスクリプトームおよびプロテオーム解析の両方からペルオキシソームタンパク質の網羅的な同定を行った。こうした解析を通して、根のペルオキシソームがポリアミンの代謝を担っていることを明らかにした。また、Adenine nucleotide carrier 1 (PNC1)などの新規ペルオキシソーム膜タンパク質を同定することに成功した。
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