2005 Fiscal Year Annual Research Report
性決定機構が未解明な動物種における性染色体の構造と性決定関連遺伝子群の解析
Project/Area Number |
16086201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 洋一 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 教授 (70165835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 麻里 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 講師 (20372261)
梅原 千鶴子 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 助手 (80291227)
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Keywords | 鳥類 / 爬虫類 / 両生類 / トゲネズミ / 性染色体 / 性決定 / 比較染色体マッピング / 染色体相同体 |
Research Abstract |
脊椎動物における性染色体の起源と遺伝的な性決定様式の多様性を調べる目的で、爬虫類と両生類の性染色体の同定と性染色体地図の作製を試みた。6つのニワトリZ連鎖遺伝子(ATR5A1,DMRT1,GHR,RPS6、ACO1,CHD1)をスッポン、シマヘビ、シャムワニ、ミナミヤモリからそれぞれクローニングし、染色体マッピングを行った。その結果、ニワトリZ染色体の遺伝子連鎖群は全ての種で保存されており、スッポン、シマヘビ、シャムワニ(性染色体の分化はまだ不明)では全て常染色体に対応した。一方、ミナミヤモリではZ染色体と一致した。以上の結果から、鳥類と爬虫類の性染色体は独立に分化し、その起源も多様であることが判明した。次に、ツチガエル(Rana rugosa)とニシツメガエル(Xenopus tropicalis)を用いて性決定・性分化関連遺伝子群(WT1,SF1,FGF9,DMRT1,DAX1,SOX3,SOX9,aromatase)の染色体マッピングを行った結果、両種とも性染色体(ZZ/ZW型)の起源は同じであり、SF1,SOX3,SOX9の3遺伝子がZW染色体にマップされた。SF1とSOX3は、ZW染色体間で逆位が生じた領域に存在することから、Z-Wホモログ間で機能分化が生じ、両生類の性分化に重要な役割を担っている可能性が示唆された。 次に、Sry遺伝子が存在せず雌雄ともにXO型の性染色体構成をもつトゲネズミの性決定機構を明らかにする目的で、16年度には性決定関連遺伝子群のサザンハイブリダイゼーション解析を行い、雌においてDax1のコピー数の増加とそれに伴う重複遺伝子の機能分化が生じている可能性が示唆された。17年度は、M33,Dmrt1,Sox9,Ad4BP/Sf1,Fgf9遺伝子について、奄美大島個体(2n=25)と徳之島個体(2n=45)を用いて染色体マッピングを行った。全ての遺伝子は常染色体上にマッピングされ、M33では遺伝子重複が生じ雌雄ともにゲノム中に二つの遺伝子座が存在することが判明した。M33は初期の性腺発達に必須でSry遺伝子の発現制御にも関わることから、遺伝子重複によって生じた新たな遺伝子がトゲネズミに性決定・性分化に関与している可能性が示された。
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