2006 Fiscal Year Annual Research Report
性決定機構が未解明な動物種における性染色体の構造と性決定関連遺伝子群の解析
Project/Area Number |
16086201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 洋一 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 教授 (70165835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 麻里 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 講師 (20372261)
梅原 千鶴子 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 助手 (80291227)
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Keywords | 性決定 / 性分化 / 性染色体 / 脊椎動物 / 進化 |
Research Abstract |
今年度は、脊椎動物の性染色体の起源と分化過程に関して以下の研究成果を得た。1)鳥類のW染色体のヘテロクロマチンを構築する新規高度反復配列を単離した。この配列は、ゲノム全域に散在するレトロトランスポゾン様の反復配列であり、新口蓋上目内で高い保存性をもつことから、古口蓋上目から分岐後、W染色体の分化に伴って部位特異的に増幅した反復配列であることを明らかにした。2)109遺伝子よりなるシマヘビの比較染色体地図を作製し、ヒト、ニワトリとの染色体相同性を明らかにした。Z染色体に連鎖する11の機能遺伝子を同定し、ヘビZ染色体がヒト染色体3p、7p、10p、17q、ニワトリ染色体2、27と対応することから、ヘビ、鳥類、哺乳類の性染色体が共通祖先の異なる染色体に由来することを明らかにした。また、ニシキヘビ、シマヘビ、ハブのZ染色体の比較地図を作製し、ヘビの性染色体の分化過程を明らかにした。3)性染色体の分化が初期段階にあるダチョウとカンムリシギダチョウを用いてZW染色体の比較地図を作製し、カンムリシギダチョウからW染色体特異的反復配列をクローニングした。その結果、鳥類の性染色体では、端部着糸型の祖先型性染色体の動原体領域から遠位部に向かって欠失が生じ、そして染色体の欠失にともなって近位部でW特異的な反復配列の増幅が生じたことを明らかにした。4)雌雄ともにXO型性染色体構成をもつTokudaia属トゲネズミにおいて性決定に関与するゲノム領域を特定する目的で、G-分染核型のイディオグラムを作製し、CGH (Comparative Genomic Hybridization)法を用いて、性決定に関わる性特異的な染色体領域の同定を試みた。その結果、雄または雌特異的な染色体領域は検出されず、トゲネズミの性決定に関わる性特異的なゲノム領域は少なくとも4Mb以下のサイズであることが示唆された。
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