2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16086203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 克晃 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30260326)
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Keywords | Sry / トランスジェニックマウス / 性分化 / 分子カスケード / 生殖腺 |
Research Abstract |
我々は、新たなSry機能解析用のモデル動物として、マウスHsp70.3プロモーターにSry遺伝子を連結した発現ベクター(HSP-Sry)を導入したトランスジェニック(Tg)マウスの作出を行なった。その結果、発現ベクター全領域を含む4種類のTgマウスを得る事に成功し、そのうち既に3ライン(#35,40,46)は、通常飼育下でXX精巣の性転換を示し、残りの1ライン(#44)は、XX卵巣を示した。これらのラインのSryの発現解析を行った結果、#40(XX精巣)ラインは、transgene由来のSryの発現が生殖原基においてステージ/領域比特異的に恒常的に発現する性転換ラインであり、体腔上皮を含めた生殖腺領域全体にSryを異所的に、かつ、発生初期から恒常的に発現していおることが明らかとなった。そこで、このラインを用いて、Sox9発現誘導に対するSryの強制発現による影響について解析を行った結果、Sry単独では、未分化性腺におけるSox9の発現時期、部位を異所的に誘導することが出来ないことが判明し、Sox9の時間/空間的な発現制御にはSry以外の別のfactorが重要であることが示唆された。さらに、このラインを用いて、様々な性特異的な遺伝子群の性腺での発現に対する影響を検討した。その結果、Sryの強制発現によるDax1,Wnt4遺伝子の発現に影響は認められなかった。しかし、精巣特異的なグリコーゲン合成の活性化が、TgマウスにおいてSryの発生初期から恒常的に発現することにより、Sry依存的に早まることが明らかとなった。以上の結果は、精巣特異的なグリコーゲン合成は、Sryにより直接的に制御されていること、Sox9とは別の経路あるいはSox9の上流に位置することが明らかとなった。
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