2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳の性分化がもたらす情動反応性の雌雄差に関する研究
Project/Area Number |
16086204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊水 健史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90302596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 裕司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40157871)
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Keywords | 早期離乳ストレス / 情動行動 / ストレス内分泌 / 雌雄差 / グルココルチコイド受容体 |
Research Abstract |
本年度は早期離乳モデルを用いて、幼少期ストレスに対する雌雄差の検出を試みた。マウスあるいはラットを生後21日目に離乳した通常離乳群,あるいは生後14日に母ラットから隔離した早期離乳群を設け、成長後の行動および内分泌反応を測定した。ICR系マウスおよびWistar系ラットにおいて、早期離乳による不安行動の上昇はオス特異的であり、メスにおいてはストレスの影響が小さいことが確認された。次にマウスにおけるストレス内分泌反応性について解析を行った。生後8週令のマウスに高架式十字迷路暴露あるいは拘束ストレスを負荷した後、心採血を行い、血中コルチコステロン濃度を測定したところ、早期離乳群は通常離乳群と比較し、高いコルチコステロン値を示した。ストレス内分泌に関してはメスにおいて内分泌反応性が低いことがあきらかとなったものの、早期離乳ストレスによる影響における雌雄差は検出されなかった。この時のコルチコステロン基礎値に関しては早期離乳群と通常離乳群の差はなかったものの、メスで高いという雌雄差が検出された。次に発達に伴う行動および神経内分泌の変化に関して検討を行った。高架式十字迷路の結果、早期離乳ストレスによる不安傾向の上昇はオスの生後3,5および8週の各ステージで確認されたが、メスではいずれのステージでも早期離乳による影響は検出できなかった。また発達に伴う血中コルチコステロンの基礎値に関しては、オスの生後3および5週令時において、早期離乳群が通常離乳群と比較して高い値を示したが、メスにおいてはそのような影響は認められなかった。さらにストレス内分泌反応の中枢制御機構のひとつである海馬グルココルチコイド受容体の発現量の測定を行った。早期離乳されたオス動物では生後3週令時においてグルココルチコイド受容体発現量の上昇を、8週令において低下を認めた。しかしメス動物においてはこのような早期離乳による発現量への影響は認められなかった。これらのことより、幼少期ストレスに関する感受性には雌雄差が存在するものの、それら雌雄差は行動や神経内分泌などの様々な部位に異なった形で表出することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)