2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳の性分化がもたらす情動反応性の雌雄差に関する研究
Project/Area Number |
16086204
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
菊水 健史 Azabu University, 獣医学部, 准教授 (90302596)
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Keywords | BDNF / 早期離乳 / グルココルチコイド / テストステロン / 性分化 |
Research Abstract |
これまでの研究で、マウスを生後21日目に離乳した通常離乳群, あるいは生後14日に母マウスから隔離した早期離乳群を設け、オス特異的な早期離乳群による不安行動の増強に並行して、情動行動の発現にかかわる扁桃体のミエリン特異的脂質グリコシルセラミドの発現量の増加と、前頭前野ならびに海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)発現量低下を見出した。これらオス特異的な幼少期ストレスへの反応性を司る中枢性分化機構を明らかにすべく、性ステロイドの組織化作用と活性化作用の効果を調べるため、出生直後のメスマウスにテストステロンプロピオネート処置、さらに生後2週齢にてテストステロン皮下移植を行い、メスマウスのオス型への転換を試みた。結果、性行動はオス型に変換したものの、早期離乳ストレスに対してはメス型のままであった。このことから幼少期ストレス応答における雌雄差の機構は性行動の性分化機構とは異なることが示唆された。そこで胎生期14日目からテストステロンを母体に投与したところ、メスでもオス型の早期離乳に対する反応性が確認された。このことから、早期離乳の雌雄差を決める性分化期が胎生14日から始まり、アンドロゲンならびにエストロゲンの共作用によるものだと、予想された。また早期離乳直後にグルココルチコイドの長期的上昇が認められたが、ここに雌雄差は検出されなかった。脳内でのコルチコステロン活性を司る11b-HSD1, 11b-HSD2の遺伝子発現を雌雄で比較した。その結果、オスの前頭葉にのみ高い11b-HSD1発現が認めら、このことからオスマウスの前頭葉でグルココルチコイドが強く働くことが示唆され、それが最終的な不安行動の上昇に結びつくと考えら得た。
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Research Products
(7 results)