2004 Fiscal Year Annual Research Report
性ステロイド受容体による転写制御を介した脳の性分化機構の解明
Project/Area Number |
16086205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武山 健一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30323570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 伊知郎 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (50361655)
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Keywords | 性分化 / 性ステロイドホルモン / アンドロゲンレセプター / エストロゲンレセプター / 転写制御 / 性行動 |
Research Abstract |
本研究は性ステロイドホルモンによる脳の性分化機構を分子レベルで解明するため、男性ホルモンであるアンドロゲンおよび女性ホルモンであるエストロゲンの作用機序に着目した。主としてアンドロゲンレセプター(AR)を介した転写制御機構の解明とAR生体内高次機能解析とした個体レベルの行動解析を試みた。すなわち作出に成功したAR KOマウスの行動解析により以下の点を明確にすることに成功した。 雄マウスは発情雌に対しマウント、挿入行動を繰り返し、やがて射精行動に至る。雌マウスは脊柱を湾曲させるロードシスという雌特有の行動をとる。これらの性行動パターンには明確な雌雄差が存在し、脳の性分化の指標となる。我々はARKOマウスを作出し、雄性特異的な行動にはARが必須であること、成体期における雄性攻撃行動はARを介さないアンドロゲンシグナルによっても一部制御を受けていることが明らかとした。このAR非依存的なアンドロゲン作用に関しては、膜レセプターや他のレセプターシステムの存在が推測される。さらに雄性行動、雄攻撃行動に著しい低下がみられるERαKO雄マウスにDHT投与することにより、AR機能の重要性を証明した。 一方、ARKO雌マウスの雌性行動、攻撃行動、子育て行動には野生型マウスと差は見られなかった。次に、時期特異的なAR機能を検討するため、ARKO雌マウスを用いて脳の性分化に対する周生期DHT投与効果を調べた。野生型雌マウスでは周生期DHT投与により脳の性転換が誘導され、性成熟後にDHT及びエストロゲン投与に反応して強い雄型性行動、攻撃行動パターンの発現がみられた。一方、ARKO雌マウスでは周性期DHTによる脳の雄性化作用は消失していた。このように自然界では存在し得ないARKO雌マウスを用いることにより、周性期における脳の雄性化にリガンド結合したARが必須であることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)