2006 Fiscal Year Annual Research Report
性ステロイド受容体による転写制御を介した脳の性分化機構の解明
Project/Area Number |
16086205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武山 健一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (30323570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 伊知郎 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (50361655)
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Keywords | 性ステロイドホルモン / アンドロゲン / エストロゲン / アンドロゲンレセプター / 転写制御 / Notchシグナル |
Research Abstract |
本研究は1.AR生体内高次機能解析、2.組織特異的AR転写制御機構の解明を目的とした。 1.AR生体内高次機能解析 作出したARKOマウスの行動および表現系解析によりARは卵胞発育に必須であることを見出した。雌性個体におけるアンドロゲン作用を明確にするため、Cre-loxP systemによりAR遺伝子欠損雌マウスを作出した。雌ARKOは正常に出生・成長したが8週齢における産仔数の減少が認められた。この表現系は閉鎖卵胞の増加、黄体数の減少卵胞発育不全が観察され、早発閉経により不妊に至ることが判明した。マイクロアレイの結果、卵母細胞成長因子であるKIT ligandの発現低下を見出した。以上、雌性のアンドロゲン作用はARを介して生殖機能にKIT ligandの発現制御を通じて卵胞発育、閉経を統御していることを示した。 2.組織特異的なAR転写制御機構の解明 ショウジョウバエを用いたAR転写活性を指標とした分子遺伝学的なスクリーニング法を確立し、新規転写共役因子の探索を試みた。その結果、AR転写活性を抑制し、Notchシグナル伝達因子と同様な表現系を呈する新規遺伝子CG1815を同定した。 ヒトホモログ遺伝子はRack7であった。Rack7の発現組織は脳及び神経組織で顕著に高く、培養細胞によるRack7の転写抑制能は、C末端のMYND motifを介してN-CoRをリクルートし、HDAC1/2及びSin3Aと複合体形成することで、HDAC活性を介して積極的に転写抑制することが判明した。また、リガンド依存的なAR転写活性およびNotchシグナル下流転写因子RBP-Jの転写活性はRack7 RNAiにより転写亢進させることが確認された。 以上、Rack7は脳・神経系においてNotchシグナルとARの転写抑制機構を結びつける新規転写共役因子である可能性が示唆された。
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