2007 Fiscal Year Annual Research Report
性分化に及ぼす性ステロイド合成・作用系異常に関する基礎的、臨床的研究
Project/Area Number |
16086207
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳瀬 敏彦 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 准教授 (30239818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 泰二郎 九州大学, 大学病院, 助教 (40264030)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 助教 (30315080)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / SF-1 / アロマターゼ / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
トリアジン系除草剤のアトラジンは米国で最頻用の除草剤であるが、その使用の是非をめぐり、論争の渦中にある。アトラジンが野生ガエルの減少やヒトの精子数の減少と関連するとの報告がある。しかしながら、その機序の一つと提示されたアロマターゼ活性上昇作用については上昇、不変と一定の見解がなかった。我々はアトラジン/シマジンが単独でSF-1依存性にアロマターゼ転写活性を増強することを見出した。興味深いことに内因性SF-1発現量の低いKGN細胞では、効果が認められないのに対し、KGN細胞の60倍以上のSF-1の高発現を認める副腎皮質細胞癌H295R細胞では、アトラジンによるアロマターゼ活性の上昇を認めた。一方、KGN細胞への外来性SF-1導入により、アトラジンによるアロマターゼ活性の誘導を再現し得た。以上の結果はSF-1高発現という条件下ではアトラジンが局所的な高エストロゲン環境を作り出す可能性を示唆している。また表面プラズモン共鳴法を用いて精製SF-1とアトラジンの結合を検討したところ、弱いながらも、SF-1との濃度依存性の結合を認め、SF-1の弱い外因性リガンドである可能性が示唆された。この結果は環境中には未知の外因性SF-1リガンドが存在し、生態系に少なからず影響を与えている可能性を示唆する(以上、Environ Health Perspect 115:720-727,2007;BBRC 355:1012-1018,2007に発表)。我々は長期継代培養によりマウス間葉系骨髄細胞を調整し、アデノウイルスに搭載したSF-1遺伝子の導入により、各種ステロイドを産生する細胞の創生に成功している。同様の手法でヒト骨髄由来間葉系幹細胞からのステロイド産生細胞の創生にも成功した。本細胞ではマウス細胞と異なり明瞭なACTH,LH受容体の発現とACYTH, LHに対する良好な反応性を認めた(以上、J Mol Endocrinol 39:343-350, 2007に発表)。
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Research Products
(9 results)