2005 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリアにおける生殖戦略転換機構-無性生殖から有性生殖へ-
Project/Area Number |
16086209
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 緑 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00211574)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 元紀 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20012411)
|
Keywords | 生殖様式 / 無性生殖 / 有性生殖 / プラナリア / ESTデータベース |
Research Abstract |
無性生殖で増殖させたリュウキュウナミウズムシOH株に、イズミオオウズムシという有性生殖のみを行うプラナリアを餌として与えることによって、人為的に無性生殖を行う個体から有性生殖を行う個体へと転換させる実験系(有性化)を確立している。有性化は形態的特長からステージ1-5に分類され、有性化がある程度進行すると、投餌を止めても自立的に有性化が進行するようになり、この時期をPoint of No Returnとよぶ。プラナリアの有性化による無性生殖から有性生殖への転換は、自然界における生殖転換機構のモデルと考えることができる。昨年度、作成したデータベースを基に、これらのクラスターと既知の有性化に伴い発現する遺伝子を用いてDNAマイクロアレイを作製した。本年度の研究では、無性生殖個体に対して有性化段階を5つのステージの個体に対して、有性化における遺伝子発現のプロファイルを作成し、これを基に作製したDNAチップを用いて有性化に伴って発現の変動する遺伝子を探索し、有性化を引き起こす遺伝子群を同定することを目的とした。 昨年度構築した完全に有性化したプラナリアのDatabaseを元にその遺伝子を載せた有性化プラナリアDNAチップを作成した。有性化段階の5つの各ステージの個体に対して無性生殖個体を比較する方法で、マイクロアレイ解析を行った。発現クラスタリングによってこれらの遺伝子と遠いクラスターに分類されており、生殖器官に関連しているタンパク質と相同性の高い遺伝子は、交接器官や卵巣原基、脳に発現することが分かった。さらに、この発現クラスターにより、ステージ3の有性化個体では3,077種の遺伝子のうち、約2,850種が無性個体よりも発現量が減少していることが確認された。このステージ3は自立的に有性化が進行するPoint of No Returnと一致することから、自律的な有性化に関連している可能性がある。
|
Research Products
(5 results)