2005 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌の集光性アンテナ・反応中心タンパク質複合体における高度な機能制御機構
Project/Area Number |
16087201
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大友 征宇 茨城大学, 理学部, 教授 (10213612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正幸 有明高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (70271864)
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Keywords | 超分子膜タンパク質 / 結晶化 / LH1-RC複合体 / Thermochromatium tepidum / X線構造解析 / デタージェント |
Research Abstract |
本研究の目的は、光合成膜内にある超分子色素膜タンパク質の構造と機能を解明することである。光合成細菌系の膜内アンテナLH1と反応中心複合体(LH1-RC複合体)を取り上げる。LH1アンテナは光の受容と反応中心への集光機能を果たしている膜タンパク質であるが、それ自身の結晶構造解析がまだ達成されていない。さらに、反応中心RCとの複合体を形成しているLH1については、単離精製法も確立していなかった。本年度は、前年度に確立した高純度・高濃度LH1-RC複合体の単離精製法で得られた試料を用いて、X線構造解析のためのタンパク質結晶の作製とLH1の単位構造の解析を目標とした。 初期結晶化のスクリーニングを行った結果、グルコシドホボスホコリン系の界面活性剤がより良質な結晶を与えることを見出した。現在、最高分解能約5Åの回折像を与える結晶が得られている。我々はLH1-RC複合体の単離精製と結晶化を試みる研究と並行して、その構成単位の立体構造を核磁気共鳴法により原子レベルで決定した。その結果から、膜貫通ドメインと色素配位部位の構造的特徴を含む多くの知見を得た。両膜タンパク質は溶液中で長時間(10日以上)にわたって安定な二次構造を保持しており、膜貫通領域に対応する部分は右図に示すようなシングルヘリックス構造であることが明らかとなった。αタンパク質においては、色素バクテリオクロロフィル分子に配位結合しているHis38はヘリックスドメインのC末端付近に存在しているのに対し、βではHis29がヘリックス領域のほぼ中央に位置していることがわかった。また、βタンパク質のHis38とTrp47が互いに近接していることから、複合体形成時にはTrp47のインドール基と色素のC3カルボニル基との間で水素結合が形成されていると予想される。これらの結果はすでに国際学術誌に発表した。
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Research Products
(4 results)