2006 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌の集光性アンテナ・反応中心タンパク質複合体における高度な機能制御機構
Project/Area Number |
16087201
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大友 征宇 茨城大学, 理学部, 教授 (10213612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正幸 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (70271864)
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Keywords | 膜タンパク質超分子複合体 / 結晶化 / LH1-RC複合体 / Thermochromatium tepidum / X線構造解析 / PufX |
Research Abstract |
本研究の目的は、光合成膜内にある超分子色素膜タンパク質の構造と機能を解明することである。光合成細菌系の膜内アンテナLH1と反応中心複合体(LH1-RC複合体)を取り上げる。LH1アンテナは光の受容と反応中心への集光機能を果たしている膜タンパク質であるが、それ自身の結晶構造解析がまだ達成されていない。本年度は、前年度までに確立したLH1-RC複合体の単離精製法をさらに改良するとともに、単離精製された試料を用いて、X線構造解析のためのタンパク質結晶の作製及び同複合体の特性解明を目標とした。 引き続き、リン脂質系の界面活性剤を使用することにより良質な結晶がコンスタントに得られるようになった。現在、最高分解能約5Åの回折像が得られている。一方、LH1-RCの結晶化と回折実験を行う研究と並行して、LH1-RC複合体の構造形成に重要な役割を果たす膜タンパク質PufXの構造解明を進めてきた。PufXは、電子伝達体であるキノン分子がLH1-RCとCytochrome bc_1複合体の問に輸送されることに関与している。しかし、天然のPufXの発現量が極めて少なく、その構造や2量体形成のメカニズムはわかっていない。そこで、我々は大腸菌発現系を構築し、PufXの大量発現を試みた。その結果、活性をもつPufXタンパク質が大量に得られた。これに続き、PufXの同位体標識を行い、その立体構造を核磁気共鳴法で決定した。PufXは膜一回貫通のヘリックス構造を示し、その中央部分にグリシンとアラニン残基に富む領域が存在することを判明した。他の実験結果と合わせて、この領域がキノン輸送とタンパク質間相互作用を司るPufXの活性部位であることを推定した。これらの知見は今後LH1-RCの結晶構造解析に大いに役立つものと考えられる。これらの成果はすでに国際学術誌に発表した。
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Research Products
(2 results)