2007 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌の集光性アンテナ・反応中心タンパク質複合体における高度な機能制御機構
Project/Area Number |
16087201
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大友 征宇 Ibaraki University, 理学部, 教授 (10213612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正幸 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70271864)
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Keywords | 膜タンパク質超分子複合体 / 結晶化 / LH1-RC複合体 / Thermochromatium tepidum / X線構造解析 / LH1 Qy 遷移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光合成膜内にある超分子色素膜タンパク質の構造と機能を解明することである。光合成細菌系め膜内アンテナLH1と反応中心複合体(LH1-RC複合体)を取り上げる。LH1アンテナは光の受容と反応中心への集光機能を果たしている膜タンパク質であるが、それ自身の結晶構造解析がまだ達成されていない。本年度は前年度に続き、高分解能X線構造解析に向けて、更なる同複合体の結晶化と凍結条件の最適化を目的とした。 これまでの条件下で得られた結晶のサイズは大きいものの、膜タンパク質複合体に特有な性質として結晶が非常に弱いという問題点が現れた。その原因の1つとして結晶が形成してから比較的長い期間が経過することにより結晶自身が弱くなる傾向を明らかにした。そこで、実験室系で液体窒素で形成直後の結晶をうまく凍結する方法を試行錯誤の末確立した。これによって放射光のマシンタイムに関係なく、良質な結晶を保存することができるようになった。 これまで陰イオン交換カラムによる精製では、ナトリウム塩を用いてきたが、得られたLH1-RC複合体の近赤外領域でのLH1 Q,遷移がNative状態より数ナノメール程度ブルーシフトしたことが観測された。そこで、各種カチオン(Na^1、K^+、Mg^<2+>、Ca^<2+>、Sr^<2+>、Ba^<2+>)の塩を添加したところ、Ca^<2+>塩を除く全ての塩において類似の現象が起こることがわかった。これはLH1中の色素の配向状態に変化が起きたことを表している。一方、CaCl_2を用いて精製したLH1-RCにおいてLH1中の色素の配向構造が強く保持され、色素膜蛋白質複合体全体としての構造安定性が高められたことを見出した。これらの成果の一部はすでに国際学術誌に発表した。
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Research Products
(5 results)