2008 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌の集光性アンテナ・反応中心タンパク質複合体における高度な機能制御機構
Project/Area Number |
16087201
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大友 征宇 Ibaraki University, 理学部, 教授 (10213612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正幸 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70271864)
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Keywords | 膜タンパク質超分子複合体 / 結晶化 / LH1-RC複合体 / Thermochromatium tepidum / X線構造解析 / LHI Qy遷移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光合成膜内にある超分子色素膜タンパク質の構造と機能を解明することである。光合成細菌系の膜内アンテナLH1と反応中心複合体(LH1-RC複合体)を取り上げる。LH1アンテナは光の受容と反応中心への集光機能を果たしている膜タンパク質であるが、それ自身の結晶構造解析がまだ達成されていない。本年度は前年度に続き、高分解能X線構造解析に向けて、更なる同複合体の結晶化と凍結条件の最適化を目的とした。 これまで行われてきたLH1-RCの結晶化において、低温測定に必要な凍結過程で壊れてしまう問題点があり、長い間回折分解能が6A台程度停滞していた。この状況を打破するため、更なる結晶化と凍結条件のスクリーニングを行った。精製試料の純度を上げることによって、よりサイズが大きく形状の良い結晶が得られた。また凍結保護物質を添加する際に、段階的に加え、その後すぐに凍結を行った方が最も効果的である。これらの改良を加えた結果、比較的コンスタントに4A台の分解能が得られるようになった。 LH1-RC複合体の結晶化実験と並行して、我々は同複合体のもつ幾つかのユニークな性質の原因解明を進めている。この耐熱菌体より精製されたLH1-RC複合体は60℃まで安定に存在できることが知られている。本年度行った実験よりこの熱安定性にCa^<2+>が必要であることを突き止めた。天然のLH1-RC複合体からCa^<2+>を除去することにより熱安定性が常温菌由来のものとほぼ同程度に下がり、また一旦除去したLH1-RCにCa^<2+>を添加すると再び熱安定性が天然型と同じに回復することがわかった。これらの成果の一部はすでに国際学術誌に発表した。
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