2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体超分子立体構造・機能解析のためのシミュレーション法開発
Project/Area Number |
16087202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 The University of Tokyo, 分子細胞生物研究所, 准教授 (30252422)
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Keywords | 生体超分子 / ナノバイオ / 分子機械 / シミュレーション / 生物物理 |
Research Abstract |
本研究では継続して生体超分子立体構造・機能解析のためのシミュレーション法開発を行ってきた。最終年度にである21年度には、以下の研究をおこなった。 まず第1に、独立で非平衡なテラジェクトリから自由エネルギー地形を求める手法、MMMMを完成し、論文発表を行った。また、蛋白質のループ部位のフレキシビリティーは、両末端が構造変化しないという幾何学的拘束条件のもとで、どの程度規定されているのかという問題を明らかにした。具体的には、両末端の拘束条件のみに基づいて、ループがとりうる構造空間を探索する新しいアルゴリズムを考案し、いくつかの系でリガンド結合に伴うループ構造変化が両末端の拘束条件によって強く規定されていることを示した。 また、大規模分子シミュレーションを用いた生体超分子の研究も行った。細菌べん毛繊維を構成する蛋白質flagellinは、繊維内部のチャネルをアンフォールドした状態で輸送され、べん毛繊維の末端に会合して構造化すると考えられる。しかし、flagellinがどのようにアンフォールドし、輸送され、末端に結合し構造化するのであるか。この疑問に答えるため、今年度は力学的アンフォールディングシミュレーションによってその過程のモデルを提案した。グルタミン結合蛋白質(GBP)は細胞へのグルタミンの取り込みを担うABC輸送システムの一部である。GTPはグルタミンを結合した際にヒンジベンディング運動をして、2つのドメインがグルタミンを挟み込むような構造変化を起こすことが知られている。我々はこのダイナミックな過程を分子動力学計算でモニターし、どのようなメカニズムで構造変化が起きるかを明らかにした。その結果、グルタミン結合に伴って誘起されるヒンジ部位の局所的構造変化がヒンジベンディング運動のトリガーとなることが明らかになった。これ以外にも、T4ファージの蛋白質gp5の脂質2重膜貫通過程、CytcとCcOのドキング等の研究も行っており、投稿論文を準備中である。
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Research Products
(39 results)