2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌細胞膜上のフェロモン受容体と輸送体の立体構造解析、構造に基づく新規抗菌薬設計
Project/Area Number |
16087203
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 宏次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30280788)
|
Keywords | quorum sensing / Enterococcus faecalis / histidine kinase / peptide pheromone / membrane protein / signal transduction / response regulator / two component system |
Research Abstract |
腸球菌Enterococcus faecalisの病因物質ゼラチナーゼの発現制御にかかわるペプチドフェロモンGBAPの生合成および輸送膜タンパク質FsrB、受容体膜タンパク質FsrC、および転写活性化因子FsrAについて、大腸菌Escherichia coliを宿主とする組換えタンパク質発現系を構築した。 転写活性化因子(応答制御因子)FsrAは、タグなしおよびN末端Hisタグありでは全く発現が確認されなかったが、GST融合タンパク質とすることで大腸菌での大量発現に成功した。この際大腸菌の培養温度37〜25度Cでは目的タンパク質は不溶化したが、20〜15度Cでは目的タンパク質を可溶性で得ることができ、グルタチオンセファロースでの精製を行った。現在、GST融合タンパク質の結晶化条件の探索を行っている。 フェロモン受容体膜タンパク質FsrCは、C末端にHisタグを付けることにより、大腸菌での発現とCo^<2+>-固定化カラムによる1段階精製に成功した。細胞膜からの可溶化は、界面活性剤ドデシルマルトシド(DDM)を用いて行った。円2色性(CD)スペクトルから、可溶化したFsrCがαヘリックスに富むことが明らかになった。精製、濃縮後、結晶化条件の探索を行っている。また、同時に、ヒスチジンキナーゼ活性検定系の確立を進めている。 フェロモンの生合成および膜輸送を担う膜タンパク質FsrBについては、タグなしおよびN末端Hisタグあり、C末端Hisタグありでの発現を試みたが、これまでのところ、どれも成功していない。今後、Bacillus subtilisの膜タンパク質であるMisticとの融合タンパク質としての発現を試みる予定である。 平成16年度中、共同研究者の中山二郎博士ら(九大・院農)により、GBAPを含むポリペプチドがFsrBとは異なるORF(FsrDと命名された)に由来することを明らかにされたため、フェロモン前駆体FsrDの発現系も構築し、N末端Hisタグ付で可溶性タンパク質として高発現に成功した。
|