2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16087207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
難波 啓一 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (30346142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 勝巳 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (40346143)
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Keywords | 1分子計測(SMD) / 電子顕微鏡 / ナノバイオ / ナノマシン / 分子モーター |
Research Abstract |
電子顕微鏡像の解析による立体構造解析では、電子線照射損傷による高分解能構造情報の劣化を抑え得る最大限の照射量で画像のS/N比を上げることと、像を数多く収集して重ね合わせ平均して高分解能構造情報を回復する作業を高効率化する工夫が、ハイスループット高分解能解析への鍵である。照射損傷を最大限に抑制可能な液体ヘリウム冷却試料ステージを装備したエネルギー分光型極低温電子顕微鏡(日本電子JEM-3200SFC)に、画像データ読み取り時間5秒程度の高速読み取りが可能になった画素数4k×4kの電子線用CCDカメラを装着し、試料温度を50Kとし、氷包埋試料の厚さをできる限り薄くすることにより、生体超分子像のコントラストを以前の約5倍に向上させることに成功した。その結果、単粒子像の整列平均操作の精度が格段に改善し、高分解能解析が容易になった。しかも、以前は構造解析に使用可能な画像の歩留まりが10%以下であったのに対し、現在はCCDカメラで1日200-300枚収集できる画像の約80%が構造解析に使用可能となり、高分解能解析のスループットが桁違いに向上した。この技術を応用し、細菌べん毛ポリロッド(直径13nm)、ポリフック(直径18nm)、病原性細菌のニードル(直径7nm)等の構造を約7Å分解能で、TMVコート蛋白質スタックディスク(直径18nm)の構造を約4Å分解能で解析した。いずれも画像データ収集が1~2日、画像処理計算が1~2日で、以前の数ヶ月から1年以上を必要とした解析作業期間が数十分の一に短縮した。どの構造もαヘリックス、[○!R]構造、ループなどの2次構造を明確に解像しており、X線結晶解析による構成分子の原子モデルと組合せることにより、超分子ほぼ全体の原子モデル構築が可能であった。生体では数多くの繊維状超分子が、細胞骨格、細胞運動、細胞内輸送等に重要な役割を果たしており、一週間程度の短時間で2次構造まで解像可能になったことは特筆に値するもので、本プロジェクトの当初の目標を達成した。
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Research Products
(92 results)