2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアエネルギー変換を駆動する蛋白質複合体の機能の原子機構
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16087208
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉川 信也 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (40068119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村本 和優 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教授 (50305679)
伊藤 恭子 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (70206316)
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Keywords | チトクロム酸化酵素 / 複合体I / X線構造解析 / 膜タンパク質 / 結晶化 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
1)チトクロム酸化酵素の結晶化条件の探索とX線構造解析:結晶化のために新規に合成した界面活性剤を用いて条件を探索し、1.7Å分解能の構造解析が可能な結晶の析出条件をほぼ確立した。さらに、結晶の凍結条件を検討し、同型性を高めるための条件を改良した。その結果1.7Å分解能での構造解析が可能な回折強度データが得られた。これまでの構造解析と精密化の結果、この結晶では本酵素分子が単量体で存在していることが明らかになった。しかし、リン脂質の組成はこれまでに得られている二量体の結晶と同一であった。これらの結果はミトコンドリア中では単量体と二量体の相互変換が起こっていることを示唆している。呼吸阻害剤結合型酵素のX線構造解析を組織的に進め、CO結合型の光解離型(CUB結合型)とFe_<a3^->結合型との構造解析に成功した。前者は低温での光照射によって調製した。さらにCN^-やNO結合型の構造解析もほぼ完了した。 2)NADH-ユビキノン還元酵素(複合体I)の結晶化条件の探索:複合体Iのペリシジンによる酵素活性滴定が酵素標品の評価法として最も優れていることを明らかにした。これを指標にして精製法の改良を進め、ペリシジン非感受性酵素の含量を30%程度に低下させることに成功した。また、機能解析の第一歩としてのフラビンの共鳴ラマンスペクトルの測定に成功した。 3)超高感度時間分割赤外分光装置の開発:フロー法によるミトコンドリアエネルギー変換複合体の赤外分光学的解析を目指して超高感度分光装置の開発を進めた結果、通常のグローバー光源でも光路長0.25mmでのチトクロム酸化酵素のAsp51由来の1739cm^<-1>吸収帯の測定が可能な程度に赤外分光系の感度を高めることに成功した。フェムト秒レーザーによる赤外白色光源の開発を平行して進め、最終的な調製の段階に至っている。
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