2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアエネルギー変換を駆動する蛋白質複合体の機能の原子機構
Project/Area Number |
16087208
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉川 信也 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 教授 (40068119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村本 和優 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 准教授 (50305679)
伊藤 恭子 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教 (70206316)
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Keywords | 酵素反応機構 / 膜蛋白質 / ミトコンドリア / エネルギー変換 / X線結晶構造解析 / チトクロム酸化酵素 / NADH-ユビキノン還元酵素 |
Research Abstract |
ウシ心筋チトクロム酸化酵素(CcO)のX線回折実験条件の検討を継続しSPring-8でも1.4Å分解能より高分解能の回折斑点を検出した。ウシ心筋CcOと脂質との相互作用を,X線構造解析の精密化によって解析し2種の相互作用(3位の官能基の構造だけで特異性が規定される場合と,さらに脂肪酸炭化水素鎖の構造も特異性に関与する場合)があることを明らかにした。ウシ心筋CcOのD経路のN91D変異体を作成し,プロトンポンプ機能を解析した。この変異は細菌CcOではプロトンポンプ機能を完全に阻害し,電子伝達活性を高める。この効果はD経路がプロトンポンプのためのプロトン経路であることの最大の根拠と見なされている。しかし,ウシ酵素では,この変異はどちらの活性にもほとんど影響しなかった。この結果は,プロトンポンプ機能の保存性についての再検討が必要であることを示している。ウシ心筋CcOの酸化型のX線構造解析を,SPring-8の強力X線による水和電子の影響を最小限に抑えるため,多数の結晶を使って,多数の照射点での照射時間を制限して行なった。その結果O-0結合距離は標準より幾分長い(1.7Å)過酸化物がO_2還元中心金属を架橋していることが明らかになった。 NADH-ユビキノン還元酵素(複合体I)の共鳴ラマン分光解析の測定条件の検討の結果,FMN及び鉄イオウ中心のスペクトルのS/N比は今年度格段に向上したが,過剰のNADHを添加してもこれらFMNに帰属できるシグナルは完全には消失しなかった。この非還元成分はこの標品に含まれている不活性型(ペリシジン比感受性)酵素によるものと推定できる。さらにFlFoATPaseの非共鳴ラマンスペクトルの測定にも成功した。複合体I及びFlFoATPaseの二次元結晶化条件を検討し,複合体Iのオプチカルデイフラクションは20Åに到達し電子線構造解析の準備はほぼ完了した。
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Research Products
(17 results)