2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16087209
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
大村 敏博 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・昆虫等媒介病害研究チーム, チーム長 (20355499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一木 珠樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・病害虫検出同定法研究チーム, 主任研究員 (70355501)
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Keywords | 生体超分子 / ウイルス / タンパク質 / 分子認識 / 植物病理 |
Research Abstract |
二重殻構造をしているレオウイルス科のウイルスは12の属から成り、人、家畜、魚、昆虫、植物など広範な生物を宿主としている。本年度は各種植物レオウイルスが各種タンパク質を素材にして自己組織化する機構及び、増殖後のウイルスが細胞内を移動し、細胞外へ排出されるに至るプロセスの一端を解析した。 イネ萎縮ウイルスのP8主要外殻タンパク質分子の柔軟性は本タンパク質問の静電相互作用によって、半径方向内側に向かってゆるやかに締め付ける力によって生み出されるもので、それによって内殻の歪な表面を包み込み、完全なウイルス粒子の二重殻を形成していることが判明した。このようなP8タンパク質の横どうしの結合による復元力が、ウイルス粒子を超分子の状態に維持する根元的原理の一つであるものと考えられた。 イネラギッドスタントウイルスをクライオ電子顕微鏡単粒子構造解析法で解析したところ、レオウイルスに共通に見られる薄い内殻層が認められた。さらに本内殻層の上表面にクランプ及び長いタレット構造が存在し、イネ萎縮ウイルスとは異なる特異的な構造が見られた。 感染した媒介昆虫細胞内においてイネ萎縮ウイルスはバイロプラズマと呼称されるウイルス合成工場でアセンブルした後にバイロプラズマに隣接する小胞体に取り込まれ、細胞内を移行した後に細胞外に排出されることが判明した。また、本ウイルスは自身が構築するチューブを利用して細胞間移行する際に、宿主である昆虫細胞のミオシンを利用することが明らかになった。
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