2006 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火罹災地の埋没過程の復元と火山噴火推移の解析に関する研究
Project/Area Number |
16089204
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 敏嗣 The University of Tokyo, 地震研究所, 教授 (00092320)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 教授 (60128056)
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
金子 隆之 東京大学, 地震研究所, 助教 (90221887)
米田 穣 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
吉本 充宏 北海道大学, 理学研究院, 助教 (20334287)
|
Keywords | 火山 / ヴェスヴィオ / 遺跡 / 埋没過程 / 噴火罹災地 |
Research Abstract |
本年度は,遺跡を埋没させた472年の噴火の全体像を明らかにするため,遺跡に加え,ヴェスヴィオ山周辺での調査に力点を置いた.夏の遺跡の発掘調査では,新たに掘削された場所での堆積物観察を行い,これまでに確立した層序関係の確認および堆積状況の観察をおこなった.昨年度の調査で確認された472年の初期の堆積物中の火砕サージと思われる堆積物の堆積構造を詳細に検討したが,建物に力学的,熱的な影響は与えておらず,火砕サージの末端であった可能性が考えられる.遺跡の建築原面の一部掘削が行われたが,79年の噴出物は発見されず,遺跡建造物は79年以降に建てられた可能性が高い. 472年噴火の全体像を把握するために,春季および夏季にヴェスヴィオ山周辺の地質調査をヴェスヴィオ火山西〜北〜東側斜面を中心に行い,遺跡を最初に埋没させたと考えられる472年堆積物のオリジナルな堆積状況を明らかにした.この調査によって,遺跡の上流側には大量の火砕流堆積物があることが判明,さらに,噴火後期から終期にかけて発生した火砕流堆積物は通常の火砕流に比べて異様に外来岩片にとみ,火砕流の2次的重力流としての土石流と判別が困難な堆積物が存在することも分かった.このような堆積物の発生メカニズムを理解するためにはヴェスヴィオ山の当時の外輪山の地形と分布との関係を明らかにする必要があり,南東地域に調査区域を拡大する必要が生じた.しかし,当地域は植生等の関係で当初予定した11-12月の調査には不適当であることが判明したため,経費を繰越して平成19年度にこの地域の調査を行い,噴火後期の火砕流堆積物の南東地域での分布域を確認した.また,火砕流堆積物の定置温度を推定するために,現地で採取した火砕流堆積物の本質岩片・外来岩片の岩石磁気的測定を行いつつあるが,外来岩片の一部に高温の火砕流により加熱されたものがあることが判明した.
|
Research Products
(1 results)
-
[Journal Article] Detailed Stratigraphical and Geological Characteristics of Volcanic and Epiclasic Deposits Burying a Roman Villa on the Northern Flank of Mt. Vesuvius(Italy)2007
Author(s)
Niihori, K., Nagai, M., Kaneko, T., Fujii, T., Nakada, S., Yoshimoto, M., Yasuda, A. & Aoyagi, M.
-
Journal Title
Bull. Earthq. Res. Inst. 85・2
Pages: 119-178