Research Abstract |
・試作した多電極表面電位探査システムを用い,イタリアのソンマベスビアーナで発掘が続けられているベスビオ火山のAD472年の噴火で埋没したローマ時代の遺跡(通称「アウグストスの別荘」)で,表面電位探査を行った。そのデータを解析するにあたり,基準電極のとり方による影響を除去する解析法を開発した。現地では,同時に,地中レーダ探査も実施した。 ・上記遺跡の埋没前における地力を推定する目的で,簡易な土壌断面調査を行い,埋没土壌を採取した。併せて,現世の試料を採取し,周辺地域での作物栽培に関する聞き取り調査を行った。採取試料は,発掘現場内で2地点,比較対照として,発掘現場外の農地で1地点,遺跡外のオッタビアーノ近郊ベスビオ山麓で1地点の計4地点で行った。これら採取した試料について,土壌の一般理化学性や土壌中に含有する微化石を調べ,埋没前の周辺地域の地力を推定する。また,火山噴出物によって埋没された土壌中の重金属,特に鉛含有量を調べ,土壌生成当時における鉛など重金属量について検討するために,AD472,AD512、AD1631年噴火により埋没した土壌および表土の採取を行った。 ・上記遺跡では,3次元レーザスキャナを用いて,本年度発掘部分のほぼ完全な記録をとった。また修復部分の詳細計測や剥落石片の計測も行った。さらにポンペイのメナンドロの家の内部計測も行った。 ・開聞岳の度重なる噴火災害を受けた鹿児島県指宿市内の考古遺跡の発掘報告書から,開聞岳の弥生,古墳,平安時代の3回の噴火前後の遺構種の変化や増減の様子を網羅的に調べ,火山罹災における生活状況の変遷を追った。
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