2006 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の火山噴火罹災地における生活・文化環境の復元
Project/Area Number |
16089207
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
鷹野 光行 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (20143696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 栄治 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00117532)
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (90141986)
近藤 恵 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助手 (40302997)
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Keywords | 考古学 / 火山 / 環境変動 / ボーリング調査 / 物理探査 / 新発見遺跡 |
Research Abstract |
平成17年度までの研究・調査成果をふまえ、貞観16(874)年の開聞岳の噴火により拡散した火山灰の分布と堆積状況を指宿市内12ヵ所においてボーリングによる探査を行い、弥生時代以降の開聞岳の噴火による罹災と遺跡の消長についての成果を得た。同時に東京工業大学の亀井宏行教授の研究班と協力して指宿市内の枚聞神社駐車場、敷領遺跡において地表面からの物理探査によって遺構の検出を試み、来年度以降の調査に備えた。またこの過程で、指宿市山川岡児ヶ水慶固において土取作業中の現場で貞観16年噴出の火山灰に覆われた慶固遺跡を新たに発見し、これはこれまで遺跡すなわちヒトの生活の跡がほとんど発見されていなかった地域での発見であり、今後の本研究の視野の拡大が示唆されたことになった。慶固遺跡は土取工事にあわせて指宿市教育委員会の手で緊急の調査をおこなったが、その結果、畠跡と道跡(畝間の通路部分)が検出された。またプラント・オパール分析により栽培植物の特定を試みたが、特定できなかった。今回の畠の発見は、付近にそれを営んだ人々の集落の存在を示唆しており、橋牟礼川遺跡や敷領遺跡に比べ噴火口により近いエリアで、どのような災害が発生しその災害の程度はどうだったのか、など平安時代の開聞岳噴火について、その災害の詳細を知る大きな手がかりを得られるものと期待される。 11月26日には、指宿市考古博物館講堂において、「火山で埋もれた都市とムラ-イタリア・日本・インドネシア-」と題するフォーラムを開催し、約100名の指宿市民を中心とする聴取を集め、研究成果の普及活動をおこなった。 これらと平行して、北海道、島原半島など日本各地、イタリア、ハワイ島、韓国の済州島における火山噴火罹災遺跡に関する状況の視察・現地踏査を行い、研究対象地の相対化を図った。
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Research Products
(2 results)