2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16090202
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小島 立 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 准教授 (00323626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 達弘 立教大学, 法学部, 准教授 (80338574)
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Keywords | 国際著作権法 / 国際取引 / ベルヌ条約 / 判例英訳 / 日本法の透明化 / 国際裁判管轄 / 準拠法 / 外国判決承認執行 |
Research Abstract |
本年度は特定領域研究の最終年度に当たる。当初からの目的に従い,わが国の著作権法・商標法・不正競争防止法に関する各国の制定法について,国際諸条約上のルール及び外国法との比較に基づいて検討を行った。わが国知的財産法の特徴を踏まえた上で,世界に向けて情報発信すべき内容とは何かという問題関心に立脚した考察を展開した。その際には,既に公表された英訳資料(特に著作権法・商標法の英訳及びJapanese Annual of International Lawに掲載されている国際私法関係の判例の英訳)との訳語の統一・調整を図っている。これまでの成果は,随時「日本法の透明化」国際知的財産法班のウェブサイト(http://www.tomeika.jur.kyushu-u.ac.jp/chizai/index_jp.html)に掲載してきた。 近時,国境を越えた知的財産紛争における国際裁判管轄及び準拠法決定の問題(これは国際私法と密接な関係を有する)についての重要性が高まっている。これは近時のGoogle Bookの和解に関する問題を見れば一目瞭然である。従来から説かれてきた,いわゆる属地主義を墨守していたのでは,現代的な問題に対する回答を与えることは難しいであろう。これら国際私法と関係する問題については,アメリカ法律協会(ALI)に加え,ミュンヘンとハンブルクのマックス・プランク研究所(MPI)が「原則」をまとめ,成果を公表している。 本特定領域研究では,それら条約提案作成の動向について情報収集し,仔細に調査・批判的考察を行い,わが国の状況を反映した,よりよい対案を作成するべく検討を重ねてきた。その結果,国際知的財産紛争における国際裁判管轄・準拠法・外国判決の承認執行についての立法提案を作成することとした。2009年5月に,AH・MPIの原則作りに携わった研究者を交えて,東京で国際シンポジウムを開催し,成果を英語と日本語の双方で発表する予定である(既に日英両方の出版につき校正段階である)。また,法務省で進められている国際裁判管轄立法について,本研究の成果を踏まえてパブリックコメントを提出した。
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Research Products
(29 results)