2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16090204
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中野 俊一郎 神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (30180326)
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Keywords | 仲裁 / 国際仲裁 / 国際私法 / ADR |
Research Abstract |
外国仲裁判断の承認・執行について、外国判決との異同という視点から検討し、成果をいくつかの国際研究集会で報告し、論文として公表した。既判力拡張・執行力付与という点で、両者は基本的に同じ扱いに服するが、私的自治を基盤とする仲裁の特質から、相互保証や公序の判断に違いも生じうること、知財判決の承認につき、ALIが提唱するような独自規則の定立は適当でないことなどが一応の結論である。また、仲裁に関する教育手法の開発については、本年度も神戸大学COEと連携してセミナーを実施した。目下、その際に収録したビデオの編集を進めており、将来的にホームページでの公開を予定している。 国際仲裁における法適用問題については、昨年度までに一応の研究成果を得ていたが、これを踏まえて行った座談会を単行本化するとともに、判例評釈やコンメンタールを執筆した。これと関連して、国際訴訟での法適用問題につき、国際商取引学会でコメントを担当した。他方、仲裁の経済学的分析について、経済学者との共同研究で得られた成果を公表した。これは、最終提案仲裁の改善策に関するもので、本研究の一種の副産物であるが、他分野研究者との意見交換から、学際研究の有用性を実感する結果となった。 国際仲裁における保全措置については、外国で調査を行った結果、欧州や米国において、保全命令の執行や外国訴訟差止につき、注目すべき理論・実務の展開があることが判明した。これについては、2007年4月の国際法協会研究大会で報告を行う。他方、消費者・労働者保護の問題については、管轄合意、法選択合意と関連させて検討する必要性を感じているが、今年度は着手できなかった。来年度以後の課題としたい。以上のほか、最近の仲裁関係判例数本の英語訳を進め、HPに掲載するとともに、新仲裁法の内容や問題点を論じた英語論文をドイツのZZPInt誌に寄稿し、目下査読を受けている。
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Research Products
(12 results)