2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16090204
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中野 俊一郎 Kobe University, 大学院・法研究科, 教授 (30180326)
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Keywords | 仲裁 / 国際仲裁 / 国際私法 / ADR |
Research Abstract |
外国仲裁判断と外国判決とを、承認・執行面での異同という視点から比較検討し、私的自治を基盤とする仲裁の特質から、相互保証や公序の判断で違いが生じうること、知財判決の承認にっき、ALIが提唱する独自規則の定立は不適当であることを指摘した。国際仲裁における保全命令の執行や外国訴訟差止については、EUやドイツにおける理論・実務の展開を紹介し、日本においても、仲裁廷による外国訴訟差止命令が手続競合に対する有効な規制手段になりうることを指摘した。仲裁手続における消費者・労働者保護の問題については、管轄合意、法選択合意に関する同様の問例題をも視野に入れつつ、仲裁法附則3条4条における扱いの妥当性について、台湾で開催した国際ワークショップにおいて問題提起的な報告を行い、成果をHP上で公表した。同ワークショップでは、台湾側研究者から、日本企業が台数の取引で遭遇した仲裁条項の問題点が指摘されことから、共同研究の成果を共著で専門誌に寄稿した。また、仲裁による国際取引紛争解決において非国家法が果たす役割に着目し、前年度に行った研究を土台として、訴訟においても同様の扱いがなされうることを指摘した。他方、わが国において法例が改正され、新しい国際私法法典が施行されたことを受けて、それが国際取引・国際仲裁に及ぼしうる影響(実体準拠法や仲裁合意準拠法の決定など)について総合的に検討し、専門誌に寄稿した。さらに、海外に向けての情報発信という意味合いから、2004年の仲裁法の内容や問題点、国際仲裁への影響について英語論文を作成し、ドイツの国際民事手続法専門誌に寄稿した。以上のほか、米国の仲裁研究者と連携して、米国・ドイツの仲裁関係判例の翻訳・紹介を行い、専門誌で連載している。
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