2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16090204
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中野 俊一郎 Kobe University, 法学研究科, 教授 (30180326)
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Keywords | 仲裁 / 国際仲裁 / 国際私法 / ADR |
Research Abstract |
米国実務家との仲裁判例に関する共同研究を継続して行い、仲裁専門誌上に成果を公表した。この研究においては、米国判例とドイツ判例とを比較検討することにより、日本法との相違や共通点を確認し、その根拠やメリット・デメリットを探ることを意図しているが、次の論文で扱ったテーマをはじめとして、一定の成果を得ることができたと考えている。また、国際知的財産訴訟の手続規整について韓国の研究者と共同研究を行い、国際シンポジウムで報告を行った。 仲裁地国による仲裁手続規整のあり方に関するここ数年の研究をまとめる形で、国際仲裁における仲裁判断の取消しを主題とする論文を作成し、青山善充教授古稀記念論文集に寄稿した。そこで得られた知見は、仲裁地国が裁判における法廷地国と同様に仲裁手続をコントロールすることがこれまで一般に認められてきたが、両者の機能には相違もあること(例えば言渡国で取り消された判決が他国で承認・執行されえないのに対して、仲裁判断の場合には、仲裁地国で取り消されたとしても承認・執行する例が複数見られる)、それは仲裁の特殊性(当事者自治の妥当性の強さ、逆に国家的コントロールの弱さ)に基因すると思われること、である。仲裁判断執行の局面でも同様の問題があり、言渡国で確認判決を受けた仲裁判断の効力が失われるとされる場合(いわゆる溶解理論)に、そのような仲裁判断を外国で承認・執行の対象とすることが可能かどうかが議論されてきた。これについては日本の古い時期の判例があり、これを足がかりとして、米国法・ドイツ法の調査を踏まえて解釈論を提示する論文を作成しており、これは2010年8月の仲裁専門誌に掲載されることが決定している。
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Research Products
(6 results)