Research Abstract |
視覚障害関係調整班の役割は,管轄する計画研究班を有機的に連携させることである。具体的には,視覚障害者の情報アクセスにおける問題点の共有,計画研究班間でのテーマの重複を除いた効率的な研究の実施,各計画研究班の研究テーマについての全体的検討,各班が有する専門的知識・技術の他班での活用,などの事項を推進する。このためにまず,全体会議において,視覚障害者の定義,人数,情報アクセス上の問題点について概説した。また,調整班会議を2回行い,各班の研究テーマについて議論した。さらに,メーリングリストを立ち上げ,調整班,並びに視覚障害関連計画研究班全員での情報共有と連絡に活用している。 調整班会議で議論を繰り返す中で,計画研究班間で共通な研究課題が明らかになってきた。その1つは,情報のパターン的認知である。健常な視覚では,チャンクと呼ばれる数文字を単位として1度に処理できることが広く知られている。同様な情報処理は,音声の認知においても起きている。触覚の認知でも同様の機構があると考えられ,その解明が課題である。 2つ目は,情報の空間的広がりと読みの利便性との関係である。健常な視覚による読みでは,紙面または画面上に情報が2次元的に広がっている。その空間情報を活用して,情報の検索,位置記憶による情報の再検索,必要な情報のみを手早く得る斜め読みなどが可能となる。これに対して,音声は時間軸方向に1次元で提示される。点字ディスプレイも横方向1次元に文字を提示する。拡大率が高い拡大表示では,少ない文字列しか1度に読むことができない。そこで,拡大表示,音声提示,(点字ディスプレイによる)点字表示,指点字に共通した課題として,効率的な情報検索と取得を実現するために,これらのメディアをどのように活用したらよいかを考える必要がある。
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