2006 Fiscal Year Annual Research Report
注視能力フィードバックによる弱視者への画像情報伝達手法の研究
Project/Area Number |
16091202
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮川 道夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50239357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 潤一 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (80209262)
前田 義信 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (90303114)
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Keywords | 弱視者 / 高齢者 / 読書支援 / 拡大読書器 / 見え難さ / 注視点ゆらぎ / 移動時間 / 適応型 |
Research Abstract |
代表者と分担者協力のもと、下記2種類の文字拡大率半自動調節アルゴリズムを考案し、前年までに試作した適応型拡大読書器のシステムにインプリメントした。アルゴリズムは次の通りである。 (1)過去5フレーム間の平均値を値とする注視点座標の分散が一定値を越える場合に"ゆらぎが大きい"と判断して拡大率を自動的に一段階上げる。 (2)ヒトは一般に見え難い場合に目を細める傾向があるが、この事実を利用して、注視点計測装置から出力される瞳孔径の値が一定値以上になった場合に"目を細めた"と判断して拡大率を自動的に一段階上げる。 後者のアルゴリズムについては、目を細めることにより一般に瞳孔径が拡大する我々独自の実験結果に基づいて採用されたが、目を細めると瞳孔径も縮小する被験者もゼロではなく、この問題点を認識のうえ、評価実験に臨んだ。 第一の注視点ゆらぎに基づく調節法による読書実験を高齢白内障患者7名と低視力学生青眼者7名について行い、結果を比較した。読み取り文書はA4用紙に5行にわたり印刷されたニュース記事であり、一部にルビを要する比較的難しい漢字を配し、見え難い文字とした。読書速度に関する統計分析の結果、両グループの間に有意差は認められず、試作した拡大読書器を使用することにより低視力が補われ、年齢に関わりなく読書が可能になることが示された。 第二の目を細めることによる拡大は、「見え難い場合には目を細めると拡大される」旨を被験者に伝えることによって評価実験を行った。被験者は低視力青眼学生10名と、視覚障がい者を学生とする大学の学生9名であるが、さまざまな視覚障害を伴うため、注視点計測システムが適用不可能となる被験者が多数を占め、実際の読書速度解析まで可能となった視覚障がい学生は部分的な評価を含め3名であった。視覚障がい者については統計的に十分な数のデータではないが、最初の実験と同様な文書読み取り実験における読書速度は、視覚障がい者の読書速度が遅くなるという結果が得られた。ただし、これには目を細める動作の困難さも影響している。 以上の評価実験により、注視を利用した拡大読書器の有望性、有効性が示された。
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Research Products
(8 results)