2006 Fiscal Year Annual Research Report
状況認知,メンタルモデルの視点から高齢者のデジタル機器に対する認知特性を探る
Project/Area Number |
16091206
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山岡 俊樹 和歌山大学, システム工学部, 教授 (10311789)
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Keywords | 人間工学 / 認知工学 / 高齢者 / 状況認知 / メンタルモデル |
Research Abstract |
(1)高齢者は使用頻度の高い,使い慣れている基本操作に関して,問題なく使いこなしている.しかし,それ以外の応用操作に関して,操作が面倒な点とモチベーションがないので,殆ど使用していない. (2)デジタル機器を使用する高齢者(200名にアンケート)を3分類し,それらの具体的特性を把握した. (3)高齢者の操作イメージとして,「電源」「調節」「選択」「入力」「確認」「実行」「停止」「合図」「表示」の9カテゴリーがあることが判明した. (4)操作の複雑度を情報量で示し,ある基準以上の情報量を必要とするタスクのパフォーマンスが低下することを把握した. (4)高齢者に限らず,若年者にも同様と思われるが,得られたデータからメンタルモデルの構築プロセスとして,[(1)操作要素の記憶・理解レベル→(2)ネットワーク形成レベルー>(3)メンタルモデル構築レベル]の3階層モデル(仮)を考案した.その内容は次のとおりである.(1)記憶・理解レベル:概念や知識の意味を記憶し理解するレベルのことである.(2)ネットワーク形成レベル:意味理解レベルで記憶した概念や知識間の関係を理解することであり、使用経験のない製品やシステムの場合は新しいネットワークが形成される.ネットワークの形成が不十分な場合は不完全なメンタルモデルとなる.(3)メンタルモデル構築レベル:ネットワーク形成レベルで形成されたネットワークのつながりが完成し,ユーザのスキーマに同化と調節を経て埋め込まれ,完全に理解される.製品やシステムを熟知し,使いこなすためにはメンタルモデル構築レベルの構築が必要である.
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