2005 Fiscal Year Annual Research Report
動的な構造をもつネットワーク上の資源割当て問題の研究
Project/Area Number |
16092219
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 聡 広島大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40228995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 浩嗣 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (30281075)
森本 康彦 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00363010)
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Keywords | P2P / ネットワーク / 資源共有 / オーバーレイネットワーク / メディアアクセス / ルーティング |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、動的な構造をもつネットワーク上の資源割当て問題の数理的な構造を明らかにし、その根本的な解決のための道筋を示すことである。本研究の柱は以下の3つである: 1)動的ネットワーク上の資源割当て問題のモデル化と特徴づけ 2)実時間性を考慮した新たな評価基準の考案とその妥当性の検証 3)考案した評価基準のもとで最適なアルゴリズムの提案とその有効性の評価 昨年度までの研究成果を踏まえて研究を進めた結果、本年度は以下のような成果をあげることができた。 a)参加ノードが動的に変化する無線通信ネットワーク上で通信品質を保証するための各端末への通信機会(TXOP)割当て問題を定義し、この問題に対する解法の提案を行った。 b)構造が動的に変化するP2Pネットワーク上での共有資源の効率的な管理を目的として、スキップグラフに基づく新しいオーバーレイネットワークの提案を行った。スキップグラフは、順序関係のあるデータ集合に対する効率的なキー検索を実現するために提案された分散データ構造の一種であり、基本となる線形リストに対して平均次数が0(log N)となるようにショートカットリンクを付加して得られる構造をもっている。本研究では、スキップグラフで用いられていたノードあたり0(log N)本のショートカットリンクのうち、定数本のみをランダムに選択することで、0(log^2 N)ステップの平均ルーティング時間が実現できることを証明した。定理の証明には、Kleinbergが提案したグリッドグラフのためのショートカット手法と同様のアイデアを用いている。 c)DHT型P2P上で効率よく連言検索を行うための手法の提案を行った。提案手法の基本アイデアは、検索の部分結果を保持するリザルトキャッシュの使用と、ブルームフィルタによる効率的な情報共有である。
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