Research Abstract |
本研究の目的は,これまで培ってきたナノマシン技術,位相干渉計測を含む高分子機能透過電子顕微鏡技術等ナノ,ハンド,アイ,システムへとさらに発展させ,汎用の技術として確立することである。今年度は,計測の可能性を探るため,さまざまの対象について実験を行った。 1.種々のナノ物体の操作と評価法の検討 対向するナノ針端を接触,融合させて形成したナノワイヤの引っ張り破断実験を継続した。透過電子顕微鏡による実時間観測で明らかになった。ワイヤ形状の変化や破断後の針先の鈍化など原子の過渡的移動現象に関し,引っ張り速度を変えて詳細な実験を行った。シリコンについては,第一原理に基づく理論計算との比較を行い,ワイヤ中に欠陥が次々と導入されることにより,大きな変形を生ずると,現象を理解することができた。金については,切断直前にコンダクタンスの量子化が観測された。さらに,金とシリコンの異種針先の接触実験を行い,シリコン表面に付着した金のナノクラスターがシリコン内部に徐々に拡散する様子を実時間観測した。アレニウスプロットをすると,その拡散速度が高温のデータと直線上に乗ることを確かめた。 可変のナノギャップを持つデバイスを作り,そのギャップに導電性分子を導入して徐々に間隔を開いていくと,橋絡する分子の結合が一つずつ離れるたびに,コンダクタンスが量子化された値だけ変化することが分かった。 2.生体分子の捕獲 マイクロ構造に付加した微小管について,一本のみを分子ピンセットで捕獲することに成功した。この後,引っ張り試験を試みたが,ほとんど伸びないまま,ある力を超えると急に分解して壊れてしい,機械特性データの取得には至らなかった。このほか,アクチン繊維,コラーゲン繊維,ポリグルタミンなども捕獲することができた。
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