2006 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントX線と高輝度中性子の相補利用による電子自由度の秩序と揺らぎの研究
Project/Area Number |
16104005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 洋一 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (60190899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 和晃 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00275009)
山田 和芳 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70133923)
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60241569)
石原 純夫 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30292262)
松村 武 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (00312546)
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Keywords | 電子軌道・四極子 / スピン / 放射光X線散乱 / 中性子散乱 / 不純物効果 / 超伝導 / 多極子秩序 / ラットリング |
Research Abstract |
(1)希釈軌道秩序系における量子効果について量子モンテカルロ法により調べた。希釈濃度の増大による軌道秩序温度の減少は、スピン系のそれに比べて著しいこと、他方古典軌道系に比べて緩やかであることを示した。これは量子揺らぎが希釈による軌道秩序の破壊を妨げていることを意味し、量子揺らぎが秩序を破壊するという通常の概念と異なる新規な現象である。これは軌道縮退系が本質的に内在するフラストレーションと方向性に起因することを明らかにした。 (2)電子強誘電体として多くの注目を集めている層状鉄酸化物RFe_2O_4(Rは希土類金属イオン)の軌道状態について理論的に調べた。二重縮退した軌道状態は蜂の巣格子上の軌道模型で記述されること、ならびに低温まで軌道秩序が生じずに絶対零度でマクロな数の軌道縮退が存在することを明らかにした。 (3)高温超伝導体におけるホール局在効果を、中性子散乱とx線吸収分光により調査した。磁性Ni不純物をプローブとし、実効的ホール濃度の減少やNi-K吸収端の変化、更にはNi回りの局所構造や後方散乱因子の変化を見出した。これらの実験結果は、Niイオンが局所的にホールを強く閉じ込め、Ni不純物のスピン状態があたかも周囲のCuスピンと同じS=1/2に見なせるシナリオを創り出した。 (4)充填スクッテルダイトPrRu_4Sb_<12>とPrOs_4Sb_<12>の中性子非弾性散乱実験により、Sbかご状格子中のPrイオン振動が強いソフト化を伴う低エネルギー光学モードを形成することを見いだした。さらに準弾性的なシグナルとして緩和モードも観測し、Prイオンのラットリング振動が他の自由度と結合して極めて強い非調和性を伴うと考えられる。 (5)近藤半導体とされるCeOs_4Sb_<12>が約1K以下で弱い反強磁気秩序を示すこと、さらに磁場中で電気伝導度が上がる領域ではこの反強磁気秩序は抑制されることを中性子回折により見いだした。これまで考えられていた磁場中金属状態での反強磁気転移の安定化とは異なる現象であることを指摘した。
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Research Products
(65 results)