2007 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントX線と高輝度中性子の相補利用による電子自由度の秩序と揺らぎの研究
Project/Area Number |
16104005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 洋一 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (60190899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 和晃 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00275009)
山田 和芳 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70133923)
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60241569)
石原 純夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30292262)
松村 武 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (00312546)
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Keywords | 電子軌道秩序 / 放射光X線散乱 / 中性子散乱 / 不純物効果 / 超伝導 / フラストレーション / 遷移金属酸化物 / スクッテルダイト |
Research Abstract |
X線回折装置と中性子分光器の開発整備を進め,それを用いて下記のような強く乱れた構造の中に出現する電子自由度秩序を捉えた. 1.X線回折・中性子分光装置の開発・整備として,(A)コヒーレントX線のためのミラー調整(B)パルス強磁場中での中性子回折実験装置の開発整備(C)中性子散乱用検出器のバックグラウンド除去(D)中性子信号検出のための大面積位置敏感検出器の導入を行った. 2.電子自由度秩序における不純物効果として,下記の研究を行った.(A)KCuF3にZnをドープした系のZn吸収端での不純物共鳴散乱を初めて観測することに成功した.(B)層状Mn酸化物にCr,Fe,Gaをドープした系を調べ,その軌道秩序に及ぼす不純物種の違いを明らかにした.(C)希釈に伴う軌道秩序温度の減少が量子揺らぎによる次元性の実効的な増大に起因することを明らかにした.(D)銅酸化物においてNi不純物とホールが強く結合する電子状態を研究し、Niのスピン状態は実効的には銅のスピン状態と同じであると結論した. 3.遷移金属酸化物に関する下記の研究を行った.(A)層状鉄酸化物RFe2O4において見られる得意な電気磁気効果の起源を理論的に解析し,電荷とスピンのフラストレーションに起因することを明らかにした.(B)ホール系の銅酸化物で反強磁性境界に近い超伝導相の磁気励起ギャップを銅-酸素面の平坦度を高めた結晶を作成し中性子散乱で調べ、従来平坦度の低い結晶では観測されなかったスピンギャップを初めて観測した.(C)ホールをドープしたコバルト酸化物に生じる特徴的な磁気構造や電荷整列を研究した。Coの2価と3価の状態が混在する系ついて,中間スピン状態の安定性について議論した。 (D)PrR4P12での金属一非金属転移に代表される高次多極子秩序をもたらすf電子間相互作用の起源を磁気励起の研究により明らかにした.
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Research Products
(55 results)