2008 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントX線と高輝度中性子の相補利用による電子自由度の秩序と揺らぎの研究
Project/Area Number |
16104005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 洋一 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (60190899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 和晃 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00275009)
山田 和芳 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70133923)
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60241569)
石原 純夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30292262)
松村 武 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (00312546)
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Keywords | 軌道自由度 / 強相関電子系 / マンガン酸化物 / コバルト酸化物 / 軌道励起 / フラストレーション / スクッテルダイト / 銅酸化物 |
Research Abstract |
放射光・中性子実験の手法・装置開発により,以下のような強相関電子物性の発現機構を解明した. 1. 軌道自由度のある強相関電子孫(特に層状マンガン酸化物)を対象に, その不純物効果に関する実験を行い理論を構築した. e_g軌道とスピンが強く結合した系における不純物効果について数値的な解析を行い、これらが希釈磁性体の性質と本質的に異なることを実験・理論的に明らかにした。 2. 室温強磁性を示すコバルト酸化物に対して, 共鳴X線散乱法を適用することにより, 強磁性の起源となるコバルト3価イオンのスピン状態の秩序構造を明らかにした. 特に, これまで不確かであった中間スピン状態の存在に対する明確な証拠を得た. 3. 割軌道波や軌道励起を観測する方法として、共鳴非弾性X線散乱の偏光依存性についての理論研究を行った。入射光のエネルギーや入射散乱X線の偏光依存性を調べることで、ピークの同定が可能となることを数値計算に明らかにした。 4. Shastry-Sutherland型格子をもつ希土類硼化物において, 2種類の秩序変数の特異な温度依存性を発見し, フラストレーションとの関連性を議論した. 5. スクッテルダイト系における金属-非金属転移の不純物効果を調べ, f電子状態が制御されることにより高次多極子秩序がリエントラント的に振る舞うことを見出した. 6. 銅酸化物超伝導相の低エネルギー磁気励起のドープ量依存性を, ホールドープ系と電子ドープ系について調べ, 前者では格子非整合から格子整合な励起にクロスオーバーするエネルギーが, ドープ量に比例して増加し, 最適ドープ近傍で飽和することを明らかにした. 後者では, 過剰ドープ域での超伝導転移温度の低下とスピンスティフネス定数の減少の対応関係を見出した. 7. 幾何学的フラストレーション系の磁気秩序相における動的磁気相関が励起エネルギーに依存する計上の磁気分子内に閉じ込められること(動的スピン分子)を見出した.
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Research Products
(68 results)