2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能計測技術を用いた極地氷床氷のミクロ物性の解明と変形機構図の構築
Project/Area Number |
16104006
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
東 信彦 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70182996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 義郎 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60176378)
明田川 正人 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (10231854)
高田 守昌 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (50377222)
佐藤 和秀 長岡工業高等専門学校, 教授 (80113398)
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Keywords | レーザー干渉測長 / 氷結晶変形機構 / 微小変位 / レーザーアブレーション / 結晶集合組織 / 含有不純物 / ホモダイン干渉計 / クリープ |
Research Abstract |
本研究では、最先端のレーザー応用工学を導入し、氷床中の氷結晶変形機構の解明と流動に伴う氷中の環境・気候指標物質の挙動の解明を目的として、期間内に以下の研究を行う。 (1)現在開発中のレーザー干渉測長技術を用いて、氷の拡散クリープ領域でのナノメートルオーダーの微小変位の観測手法を確立する。 (2)これまでに我々が開発したレーザーアブレーションによる微小領域の含有不純物分析技術をさらに発展させ氷結晶中の不純物分布構造とその熱力学的挙動を調べる。 (3)氷床中のミクロ物理化学プロセスを実験室で再現し、氷床氷の結晶集合組織発達と含有不純物との相互作用を含めた氷床氷変形機構図の構築を目指す。 本年度は(1)については氷の熱変形および力学的性質を考慮してナノメートルオーダーの微小変位の観測が可能なホモダイン干渉計の製作を行い、室温での性能評価実験を行った.位相の異なった4つの干渉縞出力からリサージュ図形を得ることに成功し,これよりナノメートルの分解能を得ることが可能となった.しかし,低温室の恒温チャンバーで行った実験では安定した出力を得ることが出来ず,原因究明中である.18年度は実際に氷のクリープ変形にこの方法を適用する予定である.またこれと並行して恒温チャンバー内の温度をmKオーダーに安定させる改良を続ける. (2)については,(1)既存の質量分析装置を用いた実験の継続と,(2)平成16年度に購入した四重極質量分析装置および試料導入方法により,大気圧付近でアブレーションさせた試料を高真空中に導入させる検討を行なった.(1)では,氷床コア試料に含まれているNa, Clを含んだ試料の実験を行ったが,それらに関係する質量数のピークは増加しなかった.(2)では,2種類の内径の管で,管抵抗により質量分析装置の真空度を保ち,試料を導入する方式を検討した.ヘリウム,アルゴンの希ガス,アルコールについては,質量分析でそれらに関係した質量数でピークの増加を確認できたが,アブレーションさせた氷試料で水分子の質量ピークは増加しなかった.これらより,(1)(2)とも,試料中の大気中で不安定な元素,分子については,導入管に付着し質量分析装置まで到達していないと考えられる.そこで,試料を高真空中のチャンバに導入する方針に変更し,装置改良を行なっている.
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