2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16104007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永原 裕子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80172550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 一仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90160853)
橘 省吾 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50361564)
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Keywords | 凝縮 / ガス / 真空実験 / カイネティクス / クヌッセンセル / FE-SEM / 鉄 / 結晶成長 |
Research Abstract |
多成分系のケイ酸塩の凝縮を可能とする実験装置の開発をおこなった。既存の真空チャンバーに、ガスソースとなるクヌッセンセル3本の取り付けを可能とし、酸素ガス導入システムの設置、基板加熱のための赤外線導入加熱システムの設置を主要な構造としてとりつけた。クヌッセンセルの設計は独自に検討中であり、装置全体の完成は来年度となる。一方、逆反応のおこりえない完全な真空蒸発実験を可能とする、簡易型の実験装置の開発をおこなった。容器は石英管、赤外線集中加熱炉による加熱、大型のターボポンプによる排気システム、という構成である。本装置の導入により単純系における予察的実験が可能となった。また、実験生成物はFE-SEMによる観察、EDSによる分析が必須であることが下記の予備実験により明らかになったため、当初計画を変更し、本年度EDSつきFE-SEMの導入をおこなった。 既存の蒸発装置を若干改良することで、予察的な凝縮実験をおこなった。実験は宇宙においてMgケイ酸塩とともにもっとも普遍的に存在すると想定される金属鉄を用いた。金属鉄板をソースとし、加熱により発生したガスを装置低温部でMo基板上に凝縮させた。その結果、結晶質鉄が凝縮し、結晶のサイズは温度、時間の関数として増大することが示された。凝縮フラックスと入射フラックスの比から、凝縮係数が求まり、高温(1000℃以上)では1、それ以下で0.7-0.8,より低温でふたたび1、という興味深い結果を得た。これは、温度により結晶表面のラフネスが変化したためと考えられ、高温では温度により表面がラフであり、低温では入射フラックスが過剰であるため、カイネティックラフニングがおこっており、中間温度ではスムーズ表面であるため、と推定される。この結果、宇宙における凝縮では温度、ガス密度の関数として凝縮係数を表す必要が示された。
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