Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 厚 東京工業大学, 資源化学研究所, 講師 (40334536)
木下 基 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (40361761)
塩野 毅 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (10170846)
栗原 清二 熊本大学, 工学部, 助教授 (50225265)
川月 喜弘 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60271201)
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Research Abstract |
本研究では,光によって巨大な屈折率変化を誘起できる液晶高分子材料を新たに創出し基材に用いることで,従来ではなし得なかった超薄型高性能ホログラムの創製を行う。今年度取り組んだ研究内容について概要を以下にまとめた。 1.可逆的な光応答を示すアゾベンゼンと屈折率変化に関わる液晶形成部位であるトランを直接結合したアゾトラン骨格を側鎖に有する液晶高分子を合成し,複屈折および光応答性について検討した。今年度は,前年度合成した3環アゾトラン液晶高分子に加えて,より高複屈折が期待できる種々の4環アゾトラン液晶高分子の合成を検討した。いずれの4環アゾトラン液晶高分子も極めて広い温度範囲で安定なネマチック液晶相を示した。さらに,一軸配向フィルムは0.5以上の高い複屈折を示すことが明らかとなった。さらに,光照射を行うことで,0.4以上の高い複屈折変化を誘起できることがわかった。 2.高複屈折の架橋液晶高分子の開発を目的として,側鎖末端に架橋部位である4-メトキシ桂皮酸基と高複屈折メソゲンであるトラン基を有する光架橋性液晶高分子を合成した。フィルムを作製し従来のビフェニル系液晶高分子と比較検討したところ,より少ない光反応量で高い配向秩序度(S=0.6)を得られることがわかった。また,複屈折は0.27に達し,光架橋性液晶高分子系における最大値であることが明らかとなった。 3.環状オレフィンとオレフィンとの共重合体は高透明性,低複屈折,高耐熱性,および低吸湿性を兼ね備えた光学材料として期待されている。新規なチタン錯体からなる触媒系によりノルボルネンとプロピレンの共重合を検討した結果,従来の触媒では困難であった共重合体を高活性で合成できることを見いだした。また,光学物性を調べたところ,厚膜において90%以上の高い透過率を示し,フレキシブル基板として好適であることが明らかになった。 4.種々のチオール基を有する連鎖移動剤(テロゲン)の存在下,モノマーをラジカル重合(テロメル化)することで,直鎖状および2鎖・3鎖・4鎖分岐構造を有する液晶テロマーを合成した。テロマー薄膜を調製し,円偏光照射を行ったところ,2鎖型テロマーにおいて表面レリーフホログラムを効率良く形成できた。
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