2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16106002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授 (20169882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 宜崇 京都大学, 工学研究科, 講師 (40314231)
平方 寛之 京都大学, 工学研究科, 助手 (40362454)
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Keywords | 低次元構造体 / 微小構造体 / 界面 / 破壊 / 界面強度 / 破壊力学 / その場観察 / 特異応力場 |
Research Abstract |
微小材料は低次元構造を有しており,バルク材とは異なる物性を示す。また、多様な機能を発現させるためには、それらの組み合わせが必要である.一方、材料の組み合わせによって生じる異材界面においては、複雑な破壊が進行する。本研究では、低次元微小構造体の界面破壊実験観察と力学解析を行ない、その力学特性を解明することを目的としている。Focused Ion Beamを用いて,精密に形状を調整した多層微小カンチレバー試験片を作成し,昨年度負荷試験装置を組み込んだ透過型電子顕微鏡により銅とシリコンの界面端(界面が自由表面と会合する部分)からのき裂発生試験およびその過程のその場観察に成功した.とくに,界面端には応力が発散する特異場が形成されることがあり,事前に連続体力学解析によってその特異応力場の性質および支配領域等を明らかにした試験片について実験を実施した.試験片の特異応力場の支配領域は100nm以内である.き裂発生臨界点はその場観察によって明確に確定できた.また,き裂発生後の急速界面破断の様相が明らかになった.さらに,その場観察によって銅のひずみ状態を精密に測定し,塑性変形が発生していることを明らかにした.そこで,逆解析的手法によって塑性構成式を導出するとともに,それが本試験片の臨界特異応力場に及ぼす影響を解析した.その結果,ほぼ50nm-100nm以内の応力場がき裂発生を支配していることが明らかになった.現在,さらに微小な特異場領域についての実験的検討を進めている.一方,原子レベル解析では,2層材の界面を対象とする引張り原子シミュレーション結果に基づいて,連続体力学量である応力特異場と界面き裂不安定進展の臨界点に関する力学解析を行った.連続体力学解析より形式的に得られるナノレベルの特異応力場は,近似的には良好な破壊臨界点の指標になりうることを示唆する結果が得られつつある.
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