2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16106002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20169882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澄川 貴志 京都大学, 工学研究科, 講師 (80403989)
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Keywords | 低次元構造体 / 微小構造体 / 界面 / 破壊 / 界面強度 / 破壊力学 / 応力拡大 / き裂 |
Research Abstract |
微小材料は低次元構造を有しており、バルク材とは異なる物性を示す。また、多様な機能を発現させるためには異材の組み合わせが必要であるが、その界面は強度が低く複雑な破壊が進行する。本研究では、低次元微小構造体の界面破壊実験観察と力学解析を行い、その破壊特性を解明することを目的としている。とくに、精密に形状を制御した多層微小カンチレバー試験片を準備し、透過型電子顕微鏡に組み込んだ負荷試験装置による界面端(界面が自由表面と会合する部分)からのき裂発生過程のその場観察を行っている。本年度は、応力拡大領域を数nmに縮小した二段カンチレバー試験片を設計・製作して、実験を行った。1nm-10nm領域の応力は、昨年度までの実験(応力拡大領域:30nm程度)と異なり、破壊力学の適用限界が10nm程度であることが判明した。また、3nm-5nm程度の領域の平均応力がき裂発生を支配していることを明らかにした。また、原子構造体の力学的不安定臨界に関する自由度削減解析方法を開発し、不安定領域を同定することに成功した。き裂を有する原子構造体では、き裂先端から約4nm領域の原子が不安定性に直接関与していることを明らかにした。これは、実験の連続系の適用下限とほぼ対応している。一方、破壊に関する微視構造の連続性と離散性の影響をさらに明確に見るため、形状・寸法を制御した多数のナノ要素(直径50nmのスプリング)の層を異材界面に配置した材料を準備し、き裂発生実験・解析を行った。その結果、界面端近傍1μm-2μm(約20本の要素に相当する)の平均応力がき裂発生をもたらしていることを明らかにした。つまり、連続性の下限界に関する離散要素数の観点から原子系の解析と対応している。
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