2007 Fiscal Year Annual Research Report
ピラミッド微小光共振器を用いた量子ドット励起子状態のコヒーレント制御に関する研究
Project/Area Number |
16106005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
末宗 幾夫 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (00112178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 英和 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70292042)
植杉 克弘 室蘭工業大学, 工学部, 准教授 (70261352)
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Keywords | 半導体量子ドット / 微小共振器 / 励起子状態 / スピン反転 / 円偏光状態 / フォトニックナノ共振器 / 荷電励起子 / 準共鳴励起 |
Research Abstract |
当該研究では,材料の観点からInAs系より数10倍振動子強度が大きいII-VI族半導体量子ドットを用いて相互作用を増強するとともに,これまで研究を続けてきた微小共振器と組み合せて,真空場ラビ分裂の実現を目指す。さらに量子ドット内の励起子基底状態と励起状態間の遷移をコヒーレントに制御する方法を開発し、コヒーレントに制御された状態からの単一光子列の発生によって量子情報処理への応用に向けた基礎を固めることを目指している。 本年度、正の荷電励起子を用いることによって、励起子状態スピン反転時間が中性励起子に比べて3倍長く、また発光寿命と比べても10倍長い10nsを超えることを明らかにした。これはスピン状態の安定性を保障するもので、励起子状態のコヒーレンス制御の基礎となる。また励起子より1光学フォノンエネルギーだけ高い状態を準共鳴励起することにより、線幅約20ueVの純粋な正の荷電励起子発光が得られることを明らかにした。また、励起フォトンの持つ円偏光状態を92%以上という高い確率で電子スピンに置き換え、さらにこれを同じ円偏光状態に変換する総合効率で85%を達成した。これはフォトンと電子スピン間の量子状態変換を実現する重要なステップとなる。さらに、昨年度より高い共振Q値を示す共振器構造をFDTD計算で調査した。また実験的にも作製方法の検討を進めたが、基本的に共振器構造は波長に応じた正確さで作製する必要があり、波長が短くなるにつれてその製作が困難になる。今回このような短波長領域で微小共振器を作製する上で、従来の約2倍の大きさを持つフォトニックナノ共振器を検討し、共振Q値約75万と高い良好な共振特性を示す構造を見いだした。今後その製作、評価を試みる。
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