2008 Fiscal Year Annual Research Report
ピラミッド微小光共振器を用いた量子ドット励起子状態のコヒーレント制御に関する研究
Project/Area Number |
16106005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
末宗 幾夫 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (00112178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 英和 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70292042)
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Keywords | コヒーレンス / 量子ドット / 共振器 / 位相緩和時間 / 量子情報処理 / スピン反転時間 / 荷電励起子 / 円偏光状態 |
Research Abstract |
当該研究では微小光共振器中で量子ドットの励起子と光子の結合を強め、これを使って励起子状態をコヒーレントに制御し、単一光子を用いた量子情報処理への基礎を固めることを目指して研究を進めてきた。最終年度では特にコヒーレンスの評価と制御に関する研究を進めた。干渉光学系を作製し、量子ドット励起子からの発光に関する自己相関関数を測定することによって位相緩和時間め評価を進めた。その結果、光励起強度を上げると位相緩和時間が20ps以下と短くなり、急速にコヒーレンスを失うことが分かったが、200nW以下の弱励起にすることで、励起子発光線のエネルギー広がり幅と位相緩和時間がフーリエ限界にある理想的な特性が得られた。(線幅44μeV-位相緩和時問30ps)前年度までの研究で、荷電励起子を用いることにより、励起子状態スピン反転時間は発光寿命の10倍、10nsを超えること、また光子円偏光状態から電子スピン量子状態へ、さらに光子円偏光状態への量子状態変換を総合量子効率92%という高い確率で行うことができることを示した。共振器はこのような変換過程における光場の制御、光子の損失を防ぐ意味があるが、従来のフォトニック結晶等の共振器ではその効率を100%に高めることが困難と考えられた。そこで、光アクセスする表面を除いて半導体量子ドットを金属で埋め込んだ新たな共振器構造を考案し、入射光子が量子ドットを励起する効率と発生した光子を取り出す総合効率で、従来に比べ40倍の改善を観測した。以上によって、光子と量子ドット(励起子スピン)との間でコヒーレントにかつ高効率に量子状態変換する基礎を築くことができた。
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Research Products
(5 results)