2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホール型推進機における放電振動の抑制と高密度プラズマイオンの抽出
Project/Area Number |
16106012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒川 義博 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (50134490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 弘一 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (20207210)
小紫 公也 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (90242825)
山本 直嗣 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助手 (40380711)
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Keywords | ホール型推進機 / 宇宙推進 / プラズマ / イオンビーム / 放電振動 / セラミック壁面損耗 |
Research Abstract |
次世代宇宙推進機として現在最も注目され日欧米で競って研究開発が進められているホール型推進機において,現在克服すべき最重要課題は,1)不安定作動の誘発や推進機損傷の要因と考えられる放電振動の機構の解明ならびに抑制,2)衛星本体へのプラズマ干渉の評価,および3)寿命を制限するチャネル内壁の損耗評価,である.これらの問題を解決するために以下の研究を行った. ・加速チャネル内の振動プラズマ計測: 振動現象の要因となっているイオン加速チャネルの内部状態を計測するために,スリット付ホール型推進機および高速度カメラを用いて内部計測した.また,詳細な内部物理状態を明らかにするために並列計算機を用いてFull-PIC法による数値計算を行い実験との比較を行った. ・レーザー分光法によるプルーム計測:加速チャネル外部のイオンビームの定量的評価,および衛星本体へのプラズマ干渉の評価を行うために,半導体レーザーを用いた吸収分光法による測定を行った.自動計測システムの構築による多点測定,ならびに真空容器内の背圧効果を差し引く手法の開発を行い,詳細かつ信頼性のあるデータを得ることができた. ・高密度プラズマ抽出に伴うチャネル内壁損耗計測:従来の損耗計測方法は直接的に損耗量を測定するため,長時間試験および計測時の作動停止・大気圧開放が不可欠であった.これに対し,本研究ではチャネル内壁に多層コーティングを施すことによって,リアルタイムの損耗計測を実現する全く新しい損耗計測方法を提案しその基礎実験を行った. ・チャネル内壁損耗の数値計算:ホール型推進機の寿命を決定する壁面損耗の評価は不可欠であるが,実験による数千時間の耐久試験は膨大なコストを要するため,数値計算による予測が必要とされている.このために,Hybrid-PIC法による2次元放電振動モデルを発展させ内部チャネル壁の損耗を計算するコードを開発した.これにより,長時間作動による壁面損耗ならびにその結果生じる放電状態の変化を予測できた.
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