2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工環境の普及に伴う日本人の環境適応能の変化に関する研究
Project/Area Number |
16107006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栃原 裕 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 教授 (50095907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝浦 哲夫 千葉大学, 工学部, 教授 (00038986)
綿貫 茂喜 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 教授 (00158677)
大中 忠勝 福岡女子大学, 人間環境学部, 教授 (20112716)
安河内 朗 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 教授 (20136568)
村木 里志 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 助教授 (70300473)
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Keywords | 人工環境 / 温熱環境 / 人工照明 / 上下温度差 / 睡眠 / 空調 / 照明色温度 / 体温調節能 |
Research Abstract |
各種人工環境条件が人体生理反応に及ぼす影響を詳細に検討した。以下に研究の3事例を示す。 低湿度が若年者・高齢者の生理・心理反応に及ぼす影響を、相対湿度10%、30%、50%の3条件で線毛の活動性や眼、皮膚の生理機能を測定し、心理反応としては温怜感、乾燥感、快適感について主観評価を行なった。皮脂の活動性や平均皮膚温の変化に対しては低湿度の影響が認められず、低湿度環境下で、SCT値が増加し、鼻や眼球粘膜、皮膚が乾燥する事が明らかとなった。特に、高齢者のSCT値が有意に増加し、若年者より高い値を示したことから、高齢者の方が若年者より低湿度の影響を受けやすいという事が示唆された。 人工気候室内に、空調BOXを設置して行い、人工気候室とBOX内の気温を独立して制御することで身体の上部と下部に温度差を生じさせた。実験条件は25℃を中心として、上下温度差(上部温度-下部温度)が-8.0℃、-4.0℃、0.0℃、+4.0℃、+8.0℃となる5条件とした。下半身は上半身に比べて低温環境に対して温冷感が低下しやすい。よって、下半身に対して上半身の方が高温である「頭熱足寒」型の温度分布は、上半身の温冷感の上昇および下半身の温冷感の低下を促進し、上下半身における温熱的中立状態からの「ズレ」が拡大するために温熱的不快感が上昇するものと考えられた。 夜間の睡眠前の高色温度曝露がその後の睡眠中の心臓自律神経活動について及ぼす影響について心拍変動から検討した。高色温度曝露により睡眠中の心拍数の低下は抑制された。心拍変動はノイズが多く従来のFFTによる解析法では高色温度曝露による影響はみとめられなかったが、ランダムフラクタルノイズを取り除くCGSA法の適用により影響がみとめられた。CGSA法は従来のFFTよりも個人差をより顕著に見出せることも明らかとなり、CGSA法の生理的SN比の高さが示唆された。
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