2007 Fiscal Year Annual Research Report
生理人類学体系化の試み-実験生理人類学と理論生理人類学の視点から-
Project/Area Number |
16107007
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮崎 良文 Chiba University, 環境健康フィールド科学センター, 教授 (40126256)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 方彦 千葉大学, 九州大学, 名誉教授 (10038937)
|
Keywords | 実験生理人類学 / 理論生理人類学 / 生理人類学体系化 / 全身的協関 / 生理的多型性 / 絶対値計測 / 生理的メカニズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、実験生理人類学によって蓄積した実験データに理論生理人類学という新たな考え方を導入し、両者の融合から生理人類学を体系化することである。 実験生理人類学においては、フィールド実験・実験室内実験を実施し以下の3点を明らかにした。1、フィールド実験では、自然環境が人間に及ぼす影響を明らかにするため、今年度、全国11カ所の森林浴実験を追加し、計35ケ所、420名の被験者実験を終了した。森林における15分〜20分の歩行や座観は、コルチゾール濃度の低下、副交感神経活動(心拍変動性)の上昇、交感神経活動(心拍変動性)の低下、脈拍数の低下、収縮期血圧の低下、拡張期血圧の低下を生じさせることを認めた(都市部に比べて全て有意差有り)。2、実験室内実験においては、前頭前野絶対値多点(10チャンネル)計測システムを用いて、視覚、味覚等の刺激時における前頭前野各部位の活動の局在性を明らかにした。また、全身的協関の観点から実施した実験において、自然由来の五感に関わる刺激は、前頭前野活動の鎮静化、副交感神経活動の上昇、交感神経活動の低下、脈拍数の低下、収縮期間血圧の低下、拡張期血圧の低下を生じることを示した。3、さらに、生理的多型性の観点から、(1)味覚刺激等に対する反応がタイプA行動パターンならびに特性不安等のパーソナリティによって異なること、ならびに(2)森林浴時の唾液中コルチゾール濃度と免疫グロブリンA濃度は、安静時の濃度が低い被験者では上昇し、高い被験者では低下することを明らかにした。 理論生理人類学においては,上記で得られたデータや既存のデータを参考にしながら,生理的多型性,1全身的協関,機能的潜在性,テクノ・アダプタビリティー,環境適応能という生理人類学の主要概念について,その定義を確定させつつある。
|