2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16108001
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
難波 成任 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50189221)
|
Keywords | ファイトプラズマ / ゲノム / ポストゲノミクス |
Research Abstract |
世界にさきがけて決定したファイトプラズマの全ゲノム塩基配列をもとに、ファイトプラズマの感染により引き起こされる特徴的な病徴の病原性因子を同定する目的で、まずはファイトプラズマのゲノムデータベースより、ファイトプラズマの分泌タンパク質と膜タンパク質を網羅的に探索した。シグナル配列と膜貫通ドメインの探索を行った結果、28個の分泌タンパク質と、103個の膜タンパク質が選抜された。ファイトプラズマの持つ遺伝子には機能未知のものが多く、選抜された分泌タンパクや膜タンパク質も半分以上が機能未知ではあったが、プロテアーゼドメインを持つ分泌タンパク質など、ある程度機能の推測できるものも含まれていた。これらのうちいくつかについては、植物体における発現実験を試みるため、ウイルス発現ベクターに組み込んだ。併行して、特異的抗体の作製を行った。 植物体における発現解析の結果、植物に病徴を誘導する分泌タンパク質を同定した。この病原性因子は非常に小さなタンパク質であり、ファイトプラズマが感染している節部組織から植物体全体へと移行することが期待されたため、抗体を用いた免疫組織科学的解析を行ったところ、節部組織から他の組織へと移行していることが確認された。植物にこのような病徴を誘導する原因因子としてはほぼ初めての例であり、非常に大きな発見であると思われる。 また、ファイトプラズマの良虫媒介能について詳細に解析するため、本研究室で維持している昆虫伝搬能喪失変異株が持つプラスミドについて詳細に解析したところ、フアィトプラズマの昆虫伝搬に関与すると期待される候補遺伝子を見出すことができた。
|