2007 Fiscal Year Annual Research Report
卵子の細胞分化・死減調節系の解明による次世代型動物発生工学技術の基盤形成
Project/Area Number |
16108003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 英明 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (80093243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 克彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10164609)
竹家 達夫 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (60112330)
眞鍋 昇 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80243070)
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Keywords | 卵子 / 卵胞 / ヒアルロン酸 / CD44 / マクロファージ / VEGF / GDF-9 / マウス |
Research Abstract |
実験動物(マウス、ラット)及びブタで卵胞閉鎖及び卵子死滅・成熟の分子メカニズムを解明し、これらの知見を新規卵胞発育促進・閉鎖抑制技術につなげることを目的として実験を行った。また、マクロファージの閉鎖卵胞除去に関わる分子メカニズムを明らかにし、閉鎖卵胞除去技術を構想する努力を行った。 1)ブタヒアルロン酸合成酵素1(Sus scrofa hyaluronan synthase 1;shas1)にはHA結合モチーフが6ヵ所存在し、糖転移酵素活性に重要なアミノ酸配列が保存されており、さらにこのshas1が卵巣に強く発現していた。HAはshas1により産生され卵胞膜に蓄積されるが、卵胞閉鎖により閉鎖卵胞内に卵胞膜が崩れ落ちることと、閉鎖卵胞内に侵入したマクロファージにCD44とともに共発現するshas1により、閉鎖卵胞内のHA濃度が急上昇することを明らかにした。 2)ブタにおいてpolylactosamineで修飾されたCD44分子を表面にもつマクロファージが閉鎖卵胞の除去に関与することを明らかにしたが、これらの結果をまとめ「Biology of Reproduction」に投稿し、レフェリーコメントに対応し、修正している。5月中に返送予定である。 3)ラットにおいてGDF-9とVEGF遺伝子を組み合わせることにより、初期卵胞から排卵卵胞まで継続的に発育促進、退行抑制が可能になると予想されるが、投与時期の組み合わせなどの詳細を明らかにした。詳細な詰めの実験を行い、「Reproduction」に受理された。また、ヒアルロン合成酵素の産生促進とVEGF/GDF-9遺伝子併用法も考案しつつある。 4)直径70um未満のマウス初期卵胞の形態を維持させる培養方法として改良型Hanging drop法を考案し、この方法により培養後6日まで高い形態維持率を維持することが可能であることを示した。また、卵胞発育促進遺伝子であるGDF-9を体外培養液に導入することにより、直径70um未満初期卵胞から胞状卵胞を作出することに成功し、成熟卵子及び産子を世界で初めて誕生させた。これらの結果を原著論文にまとめる努力を行っている。しかし培養卵胞へのTAP-VEGFの投与は効果がなかった。
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Research Products
(6 results)