2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属族触媒を用いた有機ヘテロ元素化学反応の体系化
Project/Area Number |
16109001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 雅彦 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (30158117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 亮 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (20359532)
西村 良夫 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (60431516)
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Keywords | 遷移金属 / イオウ / リン / 触媒 / 有機合成 / フルオロベンゼン / 芳香族スルフィド |
Research Abstract |
有機イオウ・リン化合物の効率的合成を行う目的で,ジスルフィドS-S結合とジホスフィンP-P結合開裂を伴う単結合メタセシス反応を広くスクリーニングした. C-H結合を活性化し,S-S(P-P)結合を開裂してメタセシスによるC-S(C-P)結合生成を行った.なかでも,α-アルキルチオケトンが活性化されてロジウムエノラートが生じこれがアルキルチオ化される反応を詳細に検討した.これは多数の生成物を与え,複数の平衡が関わる複雑な反応であるが,触媒と反応条件を制御することによって収率よく生成物を得ることに成功した.遷移金属触媒をもちいて平衡反応の制御に成功した例である.関連した反応がジホスフィン誘導体で進行することを見い出した. C-F結合を活性化する有機イオウあるいはリン化合物の合成をさらに発展した.ポリフルオロベンゼンのアルキルチオ化反応において,p-フルオロベンゼン則という新しい配向性を明らかにした.一般に有機フッ素化物は置換反応を起こしにくいとされているが,遷移金属触媒を用いるとかなり異なる様相を示す可能性があることがわかってきた.また,酸フッ化物の活性化が行えることを示した. 有機イオウ化合物C-S結合とジホスフィンP-P結合間のメタセシス反応を検討した.ロジウム触媒存在下,チオアルキンとテトラメチルジホスフィンジスルフィドを作用させると,エチニルホスフィンスルフィドとジチオホスフィネートを与えることがわかった.種々の有機イオウ化合物C-S結合とジホスフィンP-P結合との単結合メタセシスにより,新たにC-P結合を生成できることがわかった. 以上,C-H,C-SまたはC-F結合に酸化的付加して生じた有機ロジウム中間体がS-SおよびP-P結合に対し高い反応性を示すことを明らかにした.
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