2004 Fiscal Year Annual Research Report
老化における核内受容体とその標的因子の分子作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
16109003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 聡 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40251251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 友彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20334386)
津久井 通 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10333006)
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Keywords | 老年病 / エストロゲン / 核内受容体 / トランスジェニック動物 / アデノウイルスベクター / 前立腺がん / 骨粗鬆症 / アンドロゲン |
Research Abstract |
高齢化社会の加速化に伴い、老化、病的老化の防止と健やかな加齢が社会的に強く求められている。老化と老年病の鍵を握る制御因子として核内受容体が注目される。本研究では老化における多彩な核内受容体の作用メカニズムを知り、その老化、病的老化防止作用を解明するために、各受容体の組織特異的な発現や分子メカニズム、情報伝達メカニズム、老化ならびに病的老化との関連を明らかにすることを目的とする。核内受容体を介する作用メカニズムの解明には、受容体の生体内での機能解析とともに、共役因子や下流標的因子群の性状解析が必須であり、本年度は新しい核内受容体の修飾因子としてPP5、エストロゲンならびにアンドロゲン標的因子として同定したEfp、EBAG9、PCYT1Bに着目し、それらの機能を明らかにするとともに、老化に伴い増加する前立腺等の癌における役割を示唆した。また、従来研究が進められてきたリガンド依存的転写制御機構の他に、最近になって細胞膜や細胞内シグナル伝達系を介するいわゆるnon-genomic actionが想定されており、本年度はエストロゲン受容体が膜で結合する蛋白質複合体を同定した。さらに、核内受容体関連因子を組み込んだアデノウイルスベクターとトランスジェニック動物を開発し、骨組織における過剰発現により、骨形態の変化を見出し、骨粗鬆症における役割を解析した。以上と関連して、老化疾患モデル動物・核内受容体遺伝子改変動物を用いて、各臓器、組織における老化と関連した表現系を調べるとともに、関連因子の発現変化とその制御機構、各種の老化に関連する刺激による影響を解析することにより、核内受容体関連因子の老化と病的老化における役割を探り、診断・治療の分子標的としての意義を探っており、次年度へ向けて研究が順調に進展している。
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