2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪内分泌代謝学を基盤としたメタボリック症候群のトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
16109007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益崎 裕章 京都大学, 医学研究科, 助手 (00291899)
荒井 宏司 京都大学, 医学研究科, 助手 (00263088)
細田 公則 京都大学, 医学研究科, 講師 (40271598)
海老原 健 京都大学, 医学研究科, 助手 (70362514)
|
Keywords | メタボリック症候群 / 脂肪細胞 / トランスレーショナルリサーチ / レプチン / 遺伝子操作マウス |
Research Abstract |
心筋梗塞や脳卒中に代表される致死的心血管病発症の高リスク群であるメタボリック症候群のメカニズムを解明し、新しい治療法の確立を目指すべく、本年度は(1)脂肪細胞由来ホルモンのプロトタイプであるレプチンによる代謝改善の分子機構、視床下部を中心とするレプチンのシグナル伝達機構とレプチン抵抗性(感受性低下)の分子メカニズムの解明、ヒト全身性脂肪萎縮症をモデル疾患とするレプチンの臨床応用(皮下注射によるリコンビナントレプチン投与によるトランスレーショナルメデイスン)を推進した。また、(2)メタボリック症候群の基盤病態としての脂肪細胞機能異常の分子機構に注目し、心血管ホルモン、アドレノメジュリンの脂肪細胞による産生機構や新規の病態的意義、脂肪細胞(組織)における細胞内グルココルチコイド活性化やマクロファージ浸潤に伴う炎症性変化などに焦点を絞った病態のメカニズム解明や病態モデルとなる遺伝子操作動物モデルの樹立と解析、更にはヒト脂肪組織バイオプシーによる遺伝子発現プロファイリングや新しい臨床検査法の開発を推進した。更に、(3)発生工学的手法を駆使して膵臓ベータ細胞の発生に関する遺伝子調節カスケードの解明を試みた。 特に(1)に関しては、レプチントランスジェニックマウスを用いた視床下部のレプチン信号伝達系の解析、レプチン補償治療を施行した全身性脂肪萎縮症患者を対象とした食欲、体重および体組成変化に及ぼすレプチンの影響関する検討を行った。レプチン治療による体重減少は主に除脂肪重量の減少であり脂肪重量変化は軽度であった。除脂肪重量および脂肪重量の変化量は治療前の除脂肪重量および脂肪重量とそれぞれ相関が認められた。レプチン治療によりインスリン感受性の改善および空腹時インスリン値の低下、除脂肪重量を主とした体重減少が認められ、高インスリン血症と骨格筋肥大との関連が示唆された。(2)に関しては、培養脂肪細胞を用いた脂肪細胞分化の転写制御カスケードのメカニズムの解明やアドレノメジュリンの脂肪組織における分泌調節のメカニズム解明、遺伝子操作マウスの確立、11β-HSD1遺伝子のantisense-oligonucleotideを用いたメタボリック症候群に対する治療的意義の探索を行うとともに、グルココルチコイド活性化に関するマーカーとメタボリック症候群の病勢、血管病リスク、治療効果との相関性、種々の代謝パラメーターとの関連性を検討した。
|
Research Products
(7 results)